「うちの子、自己肯定感が低いのかも…」「自己肯定感を高めるには、何をしてあげればいいんだろう」。子育てについて調べていると、多くの方が「自己肯定感」という言葉にたどり着くと思います。
ただ、僕は自己肯定感が高いか低いかに、あまり一喜一憂しなくていいと思っています。大事なのは、自己肯定感が育ちやすい関わりを、毎日の中でできる範囲で意識していくことです。
この記事では、僕が大切にしている「子どもの自己肯定感を高める10の方法」を、家庭で今日から試せる形でまとめました。できているものは再確認、まだ意識できていなかったものは1つずつ取り入れてみてください。
この記事でわかること
- 自己肯定感とは何か、高い子にはどんな特徴があるのか
- 日本の高校生の自己肯定感について、調査でわかっていること
- スキンシップ・会話・言葉がけなど、家庭でできる10の方法
- 「褒める」だけでなく「認める」ことが大切な理由
- 叱ることを減らし、褒めることを増やすための考え方
もくじ
そもそも自己肯定感ってなに?
自己肯定感をかんたんに言うと、欠点や短所も含めて自分のことを好きになれて、自分は大切にされていい価値のある人間だと思える心のことです。
自己肯定感が高い人には、ざっくり言うと次のような特徴があります。
- 何事も「まずやってみよう!」という行動力がある
- 物事を素直に受け入れられる
- 物事を前向きに捉えられる
- 心が安定している
- 自分にも他人にも優しくなれる
- ストレスに強い
こうした力を持っていると、人生が豊かになりやすく、いろいろな場面で前に進みやすくなりますよね。「自己肯定感が子どもの一生を決める」とまで言う教育者がいるくらい、大切なものだと考えられています。
とはいえ、自己肯定感という言葉に縛られすぎると、親のほうが苦しくなってしまいます。僕は、自己肯定感が高まりそうな関わりを可能な範囲で意識して、日々の子育てをしていくくらいでちょうどいいと思っています。
研究でわかっていること
国立青少年教育振興機構が日本・アメリカ・中国・韓国の高校生を対象に行った調査(2017年実施)では、「私は価値のある人間だと思う」に「そうだ」「まあそうだ」と答えた割合は、日本が44.9%でした。アメリカは83.8%、中国は80.2%、韓国は83.7%で、日本だけが大きく下回っています。
同じ報告書では、日本の高校生は「いまの自分に満足している」などの自己肯定的な項目でも米中韓より低い一方で、7年前の調査と比べると改善していることも示されています。
この調査の対象は高校生なので、幼児期の子どもにそのまま当てはまるわけではありません。教育や社会の環境、日本人の謙虚な気質など、いろいろな要素が影響していると僕は考えています。
では、自己肯定感はどうやって育っていくのでしょうか。自己肯定感は、人生の初期に、自分をお世話してくれる人たちに愛されることで身につく感情だと言われています。つまり、幼少期に親や身近な大人からどれだけ愛情を受け取ったかが、大きな要素になると考えられています。
ここからは、僕が大切にしている10の方法を、近いテーマごとにまとめてご紹介します。
方法1・2:スキンシップと理由のない抱きしめ
方法1:赤ちゃんの頃は抱っこ・触れる・笑顔・話しかけ
まずは0〜1歳ごろのポイントです。この時期にできることはとてもシンプルで、抱っこする、体に触れる、笑顔を向ける、話しかける。こうした赤ちゃんとのスキンシップをたくさんとってあげることです。
特別なことをしなくても、これだけでかまいません。愛情のある触れ合いを重ねて、親子の信頼関係を作っていくことが、自己肯定感の土台になっていくと僕は考えています。抱っこについて「抱きぐせがつかないかな」と心配な方は、抱っこについての記事も読んでみてください。
方法2:何かあったからではなく、理由なく抱きしめる
大きくなってからも、抱きしめることは、子どもに愛情を伝えるいちばんわかりやすい方法だと僕は感じています。
ポイントは、何かができたから抱きしめるのではなく、理由がなくても抱きしめてあげることです。「大好きだよ」と言いながら抱きしめるのもいいですし、無言でぎゅーっとするだけでも大丈夫です。褒めるために抱きしめるのではなく、愛情を伝えるために抱きしめる。この意識を大切にしてみてください。

方法3:毎日の3つのコミュニケーション
言葉でやりとりができるようになってきたら、たくさんコミュニケーションをとることが大切です。僕がおすすめしているのは、次の3つです。
子どもの話を最後までちゃんと聞く
子どもの話を最後まで聞いてあげると、「あなたに興味を持っているよ」「あなたのことを大切に思っているよ」「あなたを信頼しているよ」という気持ちが伝わります。
反対に、話を聞いてもらえなかったり、途中で親が話し始めてしまったりすると、子どもは「信頼されていないのかな」と感じてしまうことがあります。むずかしく考えず、「できる限り話を聞いてあげよう」という意識で接してみてください。
とはいえ、夕方の忙しい時間に、終わりの見えない話を聞き続けるのは本当に大変ですよね。全部の話を完璧に聞けなくても大丈夫です。聞ける日に、聞けるだけ、で十分だと僕は思っています。
親子で一緒に何かをする
一緒に遊ぶ、一緒に何かを作る、一緒に勉強する、一緒に出かける、一緒に体を動かす。こうした時間を通じた心や体の触れ合いから、子どもは「自分は愛されている」と感じることができます。それが自己肯定感を育てることにつながりやすくなります。
短い時間でも子どもに集中して向き合う関わりについては、1日5分の特別タイムの記事でも詳しく紹介しています。
「褒める」だけでなく「認める」声かけをする
自己肯定感を育てるなら、「褒める」ばかりではなく「認める」声かけが大切です。
「褒める」は、ざっくり言うと、子どもが前よりよくなったことを伝える行為です。一方で「認める」は、子どもの存在そのものを受け止める行為です。子どもをよく見て、気づいたことやちょっとした変化を、そのまま言葉にして伝えていきます。
大人今日はいっぱい遊んだね。
大人今日は残さず食べたね。
大人今日は赤いシャツにしたんだね。
こうした言葉で、子どもに「あなたのことをいつも見ているよ」「あなたに関心があるよ」というメッセージを送ることができます。評価をつけずに、見たままを言葉にするだけなので、意外と気軽に始められます。
TERU話を最後まで聞く、一緒に何かをする、認める声かけをする。この3つは、どれも特別な道具がいらない関わりです。
全部を毎日やろうとしなくてかまいません。
方法4〜6:伝えたい言葉・避けたい言葉とため息
方法4:無償の愛を伝える3つの言葉
自己肯定感を育てるには、「〇〇ができるあなたが好き」ではなく、「どんな自分でも、お父さんお母さんは愛してくれている」と子どもに感じてもらうことが大切です。そのために、僕は次の3つの言葉を伝えてほしいと思っています。
子どもに伝えたい3つの言葉
- 「パパもママも、あなたが大好きだよ」
- 「パパもママも、いつでもあなたの味方だよ」
- 「パパとママのところに生まれてきてくれて、ありがとう」
呼び方は「お父さん」「お母さん」など、ご家庭でいつも使っている言葉に置きかえてください。
「照れくさくて、とても言えない」と感じる方もいると思います。でも、これは子どもの心を温かくする大切な言葉なので、思いを込めて伝えてあげてください。
言葉がまだわからない0歳のうちから伝えてあげていいですし、お腹の中にいるときからでもいいと僕は思っています。子どもの成長に寄り添うように、この言葉を伝え続けてあげてください。
方法5:自己肯定感を下げてしまう言葉を使わない
反対に、次のような言葉は、子どもの人格や存在を否定することになり、自己肯定感を下げることにつながりやすくなります。
できるだけ使わないでほしい言葉
- 「信じられない!」
- 「なんでこんなこともできないの?」
- 「そんなことする子は、うちの子じゃありません!」
どれも、子どもを奮い立たせたかったり、親が思うように動いてほしかったりして、つい出てしまう言葉だと思います。ただ、これらは自分の存在や能力を根っこから否定されてしまう言葉で、子どもへの影響が強すぎます。使わないことを、僕は強くおすすめしたいです。
とはいえ、余裕がないときには、つい口から出そうになることもありますよね。
方法6:ため息に気をつける
いきなり細かい話になりますが、親のため息に、子どもはとても不安になりやすいんです。「お母さん、何か困っているのかな」「お父さん、怒ってるのかな」と、子どもはいろいろと考えてしまいます。
ため息がしょっちゅうあると、子どもはなんとなく自信がなくなったり、さびしくなったりすることがあります。それが長い目で見ると、自己肯定感を下げることにつながってしまうかもしれません。
もちろん、疲れているとため息は自然に出てしまうものです。気合いだけでため息をなくそうとするより、ため息が出てしまう原因そのものを少しずつ減らしていくことも大切にしてみてください。
方法7・8:体験と「自分で決める」経験
方法7:自然体験とお手伝いをたくさん
自然の中で遊ぶ体験と、家のお手伝い。この2つも、小さい頃からたくさん経験させてあげたいことです。
自然体験やお手伝いを通じて、いろいろな挑戦や成功体験をくり返すことで、「自分はできる」という気持ちが育っていきやすいと僕は考えています。
どちらも、その子の年齢でできることからで大丈夫です。包丁や火を使うお手伝いは、必ず大人がそばについて一緒に行いましょう。自然体験も、川や海などの水辺では、大人が手の届く距離で見守ってあげてください。
方法8:子どもの意思を尊重して決めさせる
自分の意思を尊重してもらえる経験も、自己肯定感の大切な支えになると僕は感じています。毎日の生活の中には、子どもが自分で決めるチャンスがたくさんあります。ただ、意識していないと、大人がそのチャンスを知らないうちに奪ってしまうことがあります。
たとえば、子どもの洋服を買いに行ったとき。「どれがいい?」と一緒に選んでいるようで、結局は「これかわいい!これにしようね」と親が決めてしまう。これでは、子どもは自分の意思を大切にしてもらえたとは感じにくいですよね。

子どもに任せられることは、子どもを信じて決めてもらいましょう。そして、決めたあとに「いいの選んだね!」と、その決定に自信を持てる言葉をかけてあげてください。
任せたい気持ちはあっても、つい口を出したくなるのが親心ですよね。子どもに任せる関わり方については、過干渉についての記事でもまとめています。
方法9:長所をとことん伸ばす
僕は、自己肯定感に限らず、子育てで長所をとことん伸ばすことほど大切なことはないと思っています。
子育てをしていると、どうしても子どもの短所が目について、その短所をなんとかしようとしがちです。でも、子どもを伸ばして自己肯定感を育てたいなら、長所を伸ばすことに集中してほしいと僕は考えています。
長所が伸びると、子どもはその分野で成功体験を積むことができます。まわりから一目置かれるような得意なことができれば、認められたり、すごいねと言われたりすることで、自信が育ちやすくなります。その自信が自己肯定感を育て、短所を乗り越える力にもつながりやすくなります。
ストッキング理論
ストッキングの一部分をつまんで引っ張り上げると、そのまわりの部分も一緒に持ち上がりますよね。子育てもこれと似ていて、子どもの長所を引っ張り上げると、ほかの部分も一緒についてくるように伸びていくことがあります。こうした考え方は「ストッキング理論」などと呼ばれています。
1つの成功体験が、ほかの分野に挑戦するパワーになることがある、ということです。
なので僕は、特に幼児期は、子どもが苦手なことや好きではないことはあまり気にせず、好きなことと得意なことをとことん伸ばすことをおすすめしています。
実践していると、途中でやっぱり短所が気になることも出てくると思います。それでも長所を伸ばすスタンスを続けていると、気にしていた短所が目立たなくなってくることがあります。何より、短所の克服に力を注ぐときと比べて、子どもの目の輝きが違ってくると、僕はこれまでの経験から強く感じています。
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公式LINEを友だち追加する方法10:「叱る」より「褒める」を多く
さきほど「褒める」だけでなく「認める」ことも大切だとお話ししましたが、もちろん褒めることも子育てではとても大事です。そのときに大切にしたいのが、「叱る」より「褒める」を多くすることです。
「褒める」を増やす2つの価値観
子どもをなかなか褒められない原因の多くは、子どもに褒めるところがないからではなく、親の価値観にあると僕は考えています。1つは「こうあるべき」という理想が高すぎて、そうではないところが全部マイナスに見えてしまうことです。もう1つは、ほかの子と比べてしまい、劣っているところがマイナスに見えてしまうことです。
この2つを手放して、かわりに次の2つの価値観を持ってみてください。
- 子どもの小さな変化を、一緒に喜んで褒める昨日できなかったことが少しできた、いつもより早く準備を始めた、といった小さな変化に目を向けます
- 比べるのは、ほかの子ではなく昨日のその子自身比べる相手を変えるだけで、子どもの成長がまっすぐ見えやすくなります
ただし、褒める言葉はただ増やせばいいわけではありません。子どものご機嫌をとるための褒め方や、子どもを思いどおりに動かすための褒め方は、子どもにも伝わってしまいますし、自己肯定感にはつながりにくいと僕は感じています。小さなことでも、子どもがちゃんと成長しているとき、頑張れたときに褒めてあげることを大切にしてください。褒め方のバリエーションは、子どもの褒め方20選で紹介しています。
「叱る」を減らす2つの方法
1つ目は、叱るのは「危険な行為」と「人に迷惑をかける行為」だけと決めてしまうことです。それ以外のことでは叱らない、というルールを自分に課してみてください。
子育てをしていると、イラッとすることも、怒りたくなることも本当にたくさんありますよね。でも、必要以上に叱っても、いいことはほとんどありません。子どもが怖さから一瞬だけ言うことを聞いて、親が少しスッキリするくらいです。
大人は毎日、子どもにいろいろなルールを守らせようとしています。だからこそ、大人も自分で決めたルールを守る努力をすることで、子どものお手本になれるのではないかと僕は思います。今まで叱っていたことは、「普通に教えてあげる」「わかりやすく説明してあげる」に置きかえれば大丈夫です。
2つ目は、それでもどうしても叱ることが減らないときに、叱らないことを目指すのではなく、叱り方のポイントを押さえることです。くわしくは子どもの叱り方の記事で紹介しているので、あわせて読んでみてください。
TERU10個全部を一度にやろうとすると、それだけで疲れてしまいます。まずは1つ、意識してもらえたらうれしいです。
できる限り、できる範囲で。それで十分だと僕は思っています。
まとめ
今日のポイント
- 自己肯定感は、欠点も含めて自分を好きになれて、大切にされていいと思える心。高い低いに一喜一憂しすぎなくて大丈夫
- 赤ちゃんの頃はスキンシップ、大きくなっても理由のない抱きしめを
- 話を最後まで聞く・一緒に何かをする・「認める」声かけを毎日の中で
- 無償の愛を伝える3つの言葉を。存在を否定する言葉は使わず、ため息は控えめに
- 自然体験・お手伝い・自分で決める経験と、長所を伸ばすことで「自分はできる」を育てる
- 「叱る」より「褒める」を多く。叱るのは危険なことと人に迷惑をかけることだけに
よくある質問
褒めているのに、自己肯定感が育っていない気がします
「褒める」に加えて、「認める」声かけを増やしてみてください。「いっぱい遊んだね」「赤いシャツにしたんだね」のように、子どもを見て気づいたことをそのまま言葉にする関わりです。何かができたときだけでなく、いつも見ているよと伝わることが、自己肯定感の土台になると僕は考えています。
叱ると自己肯定感は下がってしまいますか?
叱ること自体が全部いけないわけではありません。僕がおすすめしているのは、叱るのを「危険な行為」と「人に迷惑をかける行為」の2つに絞ることです。それ以外のことは、普通に教えたり、わかりやすく説明したりすることに置きかえてみてください。人格や存在を否定する言葉は使わないようにしましょう。
「大好きだよ」と言うのが照れくさいです
照れくさく感じるのは自然なことです。それでも、子どもの心を温かくする大切な言葉なので、思いを込めて伝えてあげてほしいです。言葉にするのがむずかしい日は、無言でぎゅっと抱きしめるだけでも、愛情は伝わると僕は思っています。
うちの子は自己肯定感が低いと感じます。どうしたらいい?
まずは、一喜一憂しすぎなくて大丈夫です。この記事の10の方法の中から、取り入れやすいものを1つ選んで、毎日の中で続けてみてください。それでも、子どもが強く落ち込んだ様子が続くなど心配なときは、ひとりで抱え込まずに、かかりつけの小児科や地域の子育ての相談窓口に相談してみてください。

この記事を書いた人TERU幼児教育講師/子育て勉強会TERU 代表
幼児教室で、たくさんの親子と関わってきた幼児教育講師。YouTube「子育て勉強会TERUch」(登録者 約13万人)で、子どもの発達や関わり方を研究の知見とあわせて発信しています。Yahoo!ニュース エキスパートとしても活動中。3〜8歳向けの「TERU先生の動画教室」や、オリジナルのひらがな・カタカナ教材も手がけています。
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参考文献
- 国立青少年教育振興機構 青少年教育研究センター(2018)『高校生の心と体の健康に関する意識調査報告書〔概要〕―日本・米国・中国・韓国の比較―』 PDF
※この記事は一般的な子育て情報としてまとめたものです。お子さんの心や体の状態で心配なことがあるときは、医師や専門機関にご相談ください。



