「知らない人が近づくだけで大泣きしてしまう…」「おじいちゃん・おばあちゃんに会っても、ずっと隠れたまま…」。子どもの人見知りについてのご相談は、1〜3歳の子の親御さんから本当によくいただきます。
人見知りは、子どもの心がちゃんと育っているからこそ起きるものです。とはいえ、人前で泣かれたり、周りに気をつかったりする毎日は、親にとって本当に大変ですよね。
今回は、人見知りがなぜ起きるのか、いつまで続くのかという基本から、人見知りの時期に意識したい8つのポイントまで、幼児教育講師として多くの子どもたちと関わってきた経験をもとにまとめました。
この記事でわかること
- 子どもの人見知りが起きる理由と、いつごろまで続くかの目安
- 人見知りの時期に大切にしたい、2つの土台の考え方
- 今日からできる、人見知りの子への対応8つのポイント
- 「うちの子だけ激しい?」と不安になったときの考え方
子どもの人見知りはなぜ起こるの?
生まれて間もない赤ちゃんは、まだ親とほかの人の顔の違いをはっきりとは見分けられません。それが少しずつ「いつもそばにいてくれる人」と「知らない人」の違いがわかるようになってくると、見慣れない人が近づいてきたり、抱っこされたりしたときに、泣いたり嫌がったりするようになります。
つまり人見知りは、子どもが人を見分けられるようになったからこそ起きるもので、まぎれもなく「成長の証」です。毎回泣かれると手を焼いてしまいますが、本当は喜んでいいことなんですね。
また、人見知りをしている時期の子どもは、「近づいてみたいけれど、怖い」という気持ちの間で揺れているとも言われます。知らない人に興味がないわけではなく、興味があるからこそ、心の中で葛藤していると考えられています。
研究でわかっていること
京都大学などの研究グループ(松田佳尚さんら)は、生後7〜13か月の赤ちゃん57人を対象に、人の顔を見るときの視線の動きを調べました。
その結果、人見知りが強い赤ちゃんほど、相手に「近づきたい」という気質と「怖い」という気質の両方が高く、顔を見た最初の瞬間に、目のあたりを長く見ていました。人見知りの背景には、近づきたい気持ちと怖い気持ちの葛藤があると考えられています。
人見知りはいつまで続く?
人見知りの時期や強さには、とても大きな個人差があります。医療者向けの解説として知られる『MSDマニュアル』では、人見知りは生後8〜9か月ごろから始まり、通常は2歳までにおさまること、そして期間も程度も子どもによって大きく違うことが説明されています。
僕が現場で見てきた感覚でも、最初の大きな人見知りは2歳ごろまで続く子が多いです。そのあいだに、親以外の大人も「自分をかわいがってくれる人なんだ」とわかってくると、親がそばにいることを確かめながら、ほかの人が近づいても泣いて嫌がることが少しずつ減っていきます。
そして3歳ごろを過ぎて、親との愛着や信頼関係がさらに育ってくると、親の存在が「安全基地」になります。そうなると、親の姿が見えなくても、幼稚園や保育園で長い時間を楽しく過ごせるようになっていく子が多いです。
研究でわかっていること
アメリカのブルッカー博士らは、双子の子どもたち1,285人を対象に、生後6か月から36か月(3歳)までの人見知り(知らない人への怖さ)の変化を調べました。
その結果、人見知りの強さがどう変わっていくかには、4つの異なるパターンがあることがわかりました。強い人見知りが長く続く子もいて、人見知りの道のりは子どもによってそれぞれ違うということです。
「もう2歳なのに、まだ人見知りが激しい…」と不安になることもあるかもしれません。でも、ここでお伝えした時期はあくまで目安です。ほかの子と同じペースでなくても、心配しすぎなくて大丈夫です。気になる様子が長く続いて親がつらいときの考え方は、このあとの「よくある質問」でもお話しします。
人見知りの時期に大切な2つの土台
人見知りの時期の関わり方を考えるときに、まず土台にしてほしい考え方が2つあります。このあと紹介する8つのポイントは、どれもこの2つの上に成り立っています。
1. 愛情をたくさん伝えて、親が「安全基地」になる
子どもが人見知りの時期から少しずつ外の世界でがんばれるようになるには、安心できる存在が必要です。言いかえると、子どもの中に「この人は絶対に自分を守ってくれる」と確信できる人がいることです。その存在があるからこそ、子どもは怖がらずに外の世界へ出ていけます。
この安心できる存在は、ご家庭によっては、おじいちゃん・おばあちゃんかもしれません。その子をいちばん近くで育てている人が、まずはたくさん愛情を伝えて、子どもの安全基地になってあげてください。抱っこについて心配な方は、「抱っこしすぎかな…?」と不安な親御さんへの記事も参考にしてみてください。
2. 人と関わる機会を、なるべく減らさない
人見知りの時期は、「人前で泣いたらどうしよう」「迷惑をかけたらどうしよう」と、人の集まる場所に連れていくことに慎重になりやすいですよね。その気持ちは本当によくわかります。
そのうえで、子どもの成長という面から考えると、できる範囲でかまわないので、なるべく気にせずに人と触れ合う機会を作ってあげてほしいと僕は思っています。人見知りから抜けていくためにいちばん大切なのは愛情ですが、長い目で見たコミュニケーションの練習として、人のいる場に慣れていくことも大事です。
人見知りの時期にたくさんの人から声をかけてもらった経験や、それに少しでも応えようとした経験、なじめなくてもその場にいた経験は、のちのコミュニケーションの力につながっていきやすいと僕は感じています。
周りの人に伝えておくと気持ちが楽に
人見知りが激しい時期は、会う人に「今、人見知りの時期なんです」と伝えておくのもひとつの手です。周りの大人みんなで、子どもの人見知りを笑顔で受け止められると、親の気持ちも少し楽になると思います。伝えるときに気をつけたいことは、次の8つのポイントの1つめでお話しします。
人見知りの子への対応8つのポイント
ここからは、人見知りの時期に意識してほしいポイントを8つ紹介します。少しテクニック寄りの内容もありますが、子どもが安心しやすくなり、親御さんも少し気持ちを楽にしてこの時期を過ごす助けになると思います。全部を完璧にやろうとしなくて大丈夫なので、できそうなものから試してみてください。
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ポイント1大げさに動揺せず、笑顔で対応する
子どもが泣いたときに、親があわててバッと抱きかかえたり、焦って相手に謝ったりする姿を見ると、子どもの「怖い」という印象が強くなってしまうことがあります。
子どもには笑顔で接して、相手の方にも「すみません、ちょっと人見知りの時期で」と、明るくおおらかに対応できるといいですね。
このときに意識してほしいのは、「人見知りが激しくて」という言葉を、なるべく子どもに聞こえないように伝えることです。子どもは、親が周りの人に自分のことをどう話しているかを、実はちゃんと聞いています。それがくり返されると「自分は人見知りなんだ」というセルフイメージ(自分で自分をどう思うか)ができてしまうことがあるので、少しだけ気にしてみてください。
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ポイント2先に、その人が誰かを紹介しておく
初めて会う人がいきなり近づいてきて、急に抱っこされる。これは子どもにとって、かなり怖いことです。
初めて会う人がいるときは、まず「この人は〇〇さんだよ。お父さん(お母さん)のお友だちなんだよ」と紹介してあげてください。先に紹介しておくだけでも、子どもが安心しやすくなり、人見知りの反応が少しやわらぐことがあります。
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ポイント3人見知りの表し方はみんな違うと知っておく
まれに、まったく人見知りをしないように見える子もいます。でも、よく観察していると、慣れていない人には背を向けたり、目をそらしたりしていることがあります。人見知りをしていないのではなく、表し方が違うだけということも多いんです。
泣いて嫌がる子は、たまたまそういう形で人見知りを表しているだけです。「あの子は全然人見知りしないのに、なんでうちの子はこんなに激しいの?」「これまでの子育てが間違っていたのかな?」と悩んでしまう方もいますが、表し方の違いは気質(生まれ持った性格の傾向)と大きく関係しているので、ほかの子と比べて焦らなくて大丈夫です。
僕がこれまで見てきたなかでは、人見知りが激しく出る子は、怖がりだけれど好奇心が強い子であることが多いです。あとから大きく花開く、パワーを持った子なのかもしれません。早生まれなど、ほかの子と比べて心配になりやすいことについては、早生まれは不利?差はいつまで続くかの記事でもお話ししています。
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ポイント4人見知りは育て方のせいではない
「小さいころから、たくさんの人と触れ合う環境にいるほうが人見知りしにくい」と言われることもありますが、たくさん外出したり人に会ったりしているから人見知りをしない、というわけではないと僕は考えています。
同じように、親があまり外出しなかったから、ということも気にしなくて大丈夫です。子どもの人見知りを、親の育て方のせいや、外出の量・会う人の数のせいだと思わないでくださいね。
土台の2つめで「人と関わる機会を、なるべく減らさない」とお伝えしたのは、人見知りをしないようにするためではありません。もっと長い目で見て、人とよいコミュニケーションがとれるようになるための取り組みです。できる範囲で、そういう環境を作ってあげてください。
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ポイント5親が楽しく話す姿を見せる
子どもに安心してもらうには、子どもが怖がっている相手と、まず親が楽しく関わっている姿を見せることが大切です。
人見知りの時期の子どもを、無理にいろいろな人と関わらせる必要はありません。その場にいるだけで十分です。無理に抱っこしてもらうよりも、親が楽しく会話しているところを見せていくと、自然と子どもの心がほぐれて、自分から関われるタイミングがやってくることがあります。

大人どうしが楽しく話している間も、子どもは安心できるひざの上でその場にいられます。 -
ポイント6人がたくさん集まる場所には先に着いておく
子どもは、慣れない場所や、たくさんの人がいる状況を怖く感じてしまうことがあります。
大勢が集まる場所に行くときは、なるべく早めに着いて、あとから来る人を迎える形にしてみてください。人が少しずつ増えていく様子に慣れていけるので、人見知りが大きく出ずに、その場になじみやすくなることがあります。
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ポイント7マイナスの言葉はなるべく控える
人見知りでぐずっている子どもに、つい「いつまでそうしてるの!」「なんでいつもそうなの!」と言ってしまうこともありますよね。気持ちはとてもよくわかりますが、こうしたマイナスの言葉は、なるべく控えてあげてほしいと思います。
人見知りは成長の途中で起きるもので、子どもが自分で意識してコントロールするのはむずかしいことが多いです。そんなときにマイナスの言葉をかけられると、人見知りがかえってひどくなってしまうことがあります。
理由は、土台の1つめを思い出してもらうとわかりやすいと思います。子どもを励ますつもりの言葉でも、マイナスの言葉を言われると、いちばんの安全基地だった親が、子どもにとって安心できる場所ではなくなってしまうことがあります。心の行き場がなくなって不安が大きくなり、もっと泣いてしまうことにつながりやすいんです。
人見知りの時期でも、親はいちばんの理解者として、受け止めてプラスの言葉をかけてあげる存在でいてほしいなと思います。とはいえ、毎回そうできるわけではないですよね。「できる限り、できる範囲で」で大丈夫です。言葉かけについては、親の何気ない一言が子どもの自信を奪う?の記事も参考になると思います。
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ポイント8親と一緒でまったく問題なし
公園などで、人見知りの子に「ひとりで遊んでおいで!」と言って、ほかの子が遊んでいるところに置いていくのは、あまりおすすめできません。
この時期は、まず「一緒に行こうか」と声をかけて、親と一緒に、ほかの子が遊んでいる場所で遊べるだけでもすごいことです。「ほかの子は親から離れてひとりで遊んでいるのに」と思うこともあるかもしれませんが、不安が強いうちは、そばにいてあげてください。
そのうち、自分から一歩を踏み出せるときがやってきます。そのタイミングは子どもによってそれぞれです。でも、小学生になってもずっと親の横から離れられない、という姿は、なかなか想像しにくいですよね。親が心配しすぎなくても、ちゃんと離れてひとりでがんばれるときが来ることが多いです。

親と一緒なら、ほかの子がいる公園でも遊べることがあります。
TERU8つもあると多く感じますよね。笑
全部をやろうとしなくて大丈夫です。迷ったときは、最初にお話しした2つの土台に立ち返ってもらえたらと思います。
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公式LINEを友だち追加する僕自身も人見知りの子どもでした
実は僕も、子どものころはこれでもかというくらい人見知りをする子でした。母に当時の話を聞くと、「いつも友だちの輪に入れずに、陰から見ていて大変だった」と教えてくれました。
そんな僕も、今では人と話すことが大好きです。きっとみなさんのお子さんも、自分のタイミングで、安心して自分を出せる場所を見つけていけるはずだと僕は思っています。
TERU今は本当に大変な時期だと思います。でも、人見知り代表として、ぜひ気長に見守ってあげてほしいなと思います。
まとめ
今日のポイント
- 人見知りは、人を見分けられるようになった「成長の証」
- 時期や強さの個人差は大きい。目安は2歳ごろまでで、3歳を過ぎると、親から離れて園で過ごせるようになる子が多い
- 土台は「親が安全基地になること」と「人と関わる機会をなるべく減らさないこと」
- 笑顔で対応し、先に紹介し、親が楽しく話す姿を見せる。「人見知りが激しくて」のような言い方は、子どもに聞こえないように
- ほかの子と比べず、マイナスの言葉は控えて、不安が強いうちは親と一緒で大丈夫
よくある質問
人見知りをまったくしない子は大丈夫?
人見知りをしないように見える子でも、よく見ると、慣れない人に背を向けたり目をそらしたりしていることがあります。人見知りの表し方が違うだけということも多いので、泣かないこと自体を心配しすぎなくて大丈夫です。ほかに発達のことで気になることがあるときは、かかりつけの小児科や地域の保健センターなどに相談してみてください。
3歳を過ぎても人見知りが激しいのは問題?
人見知りの時期や強さには大きな個人差があり、自分から一歩を踏み出せるタイミングも子どもによってそれぞれです。親が安全基地でいることを大切にしながら、気長に見守ってあげてください。毎日の生活や園での生活に大きく困っている、親が不安でつらいといったときは、ひとりで抱え込まずに、かかりつけの小児科や地域の子育ての相談窓口に相談してみてください。
祖父母に会っても泣いてしまうときはどうしたらいい?
まずは「おじいちゃんだよ」「おばあちゃんだよ」と先に紹介して、いきなり抱っこしてもらうのではなく、親がおじいちゃん・おばあちゃんと楽しく話している姿を見せてみてください。その場にいるだけで十分です。祖父母にも「今、人見知りの時期なんです」と伝えておいて、みんなで笑顔で受け止められると、子どもも少しずつ安心しやすくなります。
人見知りの時期は、人の多い場所に行かないほうがいい?
無理をする必要はありませんが、できる範囲で人と触れ合う機会は作ってあげてほしいと僕は思っています。なじめなくても、その場にいた経験が、のちのコミュニケーションの力につながっていきやすいからです。行くときは早めに着いておく、親のそばにいていいと伝えるなど、子どもが安心しやすい工夫をしてみてください。

この記事を書いた人TERU幼児教育講師/子育て勉強会TERU 代表
幼児教室で、たくさんの親子と関わってきた幼児教育講師。YouTube「子育て勉強会TERUch」(登録者 約13万人)で、子どもの発達や関わり方を研究の知見とあわせて発信しています。Yahoo!ニュース エキスパートとしても活動中。3〜8歳向けの「TERU先生の動画教室」や、オリジナルのひらがな・カタカナ教材も手がけています。
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参考文献
- Matsuda, Y. T., Okanoya, K., & Myowa-Yamakoshi, M. (2013). Shyness in early infancy: Approach-avoidance conflicts in temperament and hypersensitivity to eyes during initial gazes to faces. PLOS ONE, 8(6), e65476. PLOS ONE
- Brooker, R. J., Buss, K. A., Lemery-Chalfant, K., Aksan, N., Davidson, R. J., & Goldsmith, H. H. (2013). The development of stranger fear in infancy and toddlerhood: Normative development, individual differences, antecedents, and outcomes. Developmental Science, 16(6), 864–878. PubMed
- Consolini, D. M.「分離不安および人見知り」『MSDマニュアル プロフェッショナル版』(2022年11月改訂). MSDマニュアル
※この記事は一般的な子育て情報としてまとめたものです。お子さんの心や体の状態で心配なことがあるときは、医師や専門機関にご相談ください。



