壁にもたれて座る大人の女性と、そのひざにもたれかかる女の子

「1人で遊べない子」の原因は親?ひとり遊びを支える「3つの余白」

  • 対象:2〜6歳ごろ
  • 参考文献:2件
  • 読み終わるまで:約8分

「うちの子、ひとりで遊んでいられなくて、すぐに『ママ!』『パパ!』と呼んできます。何か私に原因があるのでしょうか?」。これは、僕が本当によくいただくご相談です。

家事をしたいときや少し休みたいときに、ずっと「つまんないー!遊んでー!」と言われ続けると、親としては疲れてしまいますよね。

そこで今回は、子どもが少しずつひとりで遊べるようになっていくために親ができることを、「3つの余白」という考え方でまとめてみました。

この記事でわかること

  • ひとりで遊べない理由を「親のせい」と決めつけなくていいわけ
  • ひとり遊びを支える「好奇心」と、それを育てる「時間の余白」
  • 声をかけずに見守れる「空間の余白」の作り方
  • 「つまんない!」と言われたときの「精神と思考の余白」の渡し方
もくじ
  1. ひとりで遊べない原因は親だけではない
  2. ひとり遊びを支える「好奇心」と「3つの余白」
  3. 余白①「時間の余白」をつくる
  4. 余白②「空間の余白」をつくる
  5. 余白③「精神と思考の余白」をつくる
  6. 余白づくりはできる範囲で大丈夫
  7. まとめ
  8. よくある質問

ひとりで遊べない原因は親だけではない

まず大前提としてお伝えしたいのは、子どもがひとりで遊べない理由には、生まれ持った気質や、まわりの環境など、本当にいろいろな原因が絡んでいるということです。

何か1つの原因を取り上げて「これだからひとりで遊べないんです」と言い切れるものではないんですよね。なので、このお悩みを抱えている親御さんには、「私に原因があるんだ!」と思いすぎないでほしいなと思っています。

それに、ひとりで遊べないように見えても、その子に好奇心がないとは限りません。むしろ好奇心が強いからこそ、何か気になるたびに「これなに?」「見て見て!」と聞きに来て、結果としてひとりで遊べないように見えている子もいます。

TERU

「呼ばれてばかりで、何も手につかない…」という毎日は、本当に大変ですよね。

ここからお話しするのは、「これをすれば必ずひとりで遊べるようになる」という方法ではなく、ひとりで遊べるようになっていくためのサポートとして、まず大切にしてみると助けになるかもしれないことです。

ひとり遊びを支える「好奇心」と「3つの余白」

子どもがひとりで遊べるようになっていくうえで、大事な要素の1つと言われているのが「好奇心」です。

好奇心がある子は、まわりから何か働きかけがなくても、自分から遊びを見つけたりしながら時間を使いやすく、結果としてひとりでも遊べることが多いと僕は感じています。あくまで、ひとりで遊び続けるときに、好奇心がその助けになってくれるというイメージです。

では、その好奇心はどう育つのか。これもいろいろな要素が絡みますが、僕が大切だと考えているのが、次の「3つの余白」です。

  • 時間の余白スケジュールを詰め込みすぎず、何もない時間を確保すること
  • 空間の余白「危ない!」と言わずに済む、安心して過ごせる環境をつくること
  • 精神と思考の余白手出し・口出しを控えて、自分で考える時間を渡すこと

1つずつ見ていきます。

余白①「時間の余白」をつくる

時間の余白というのは、文字どおり、スケジュールをパツパツにせずに、何もない時間を確保してあげようということです。

習い事や予定が毎日ぎっしり入っていて、空いた時間もすぐに次のことが始まる。そんな生活だと、「さて、何をしようかな」と自分で考える機会そのものが少なくなりがちです。僕は、目的のない時間の余白こそが好奇心を育てる土台になると考えています。時間の余白があまりにも少ないと、好奇心が育ちにくい環境になってしまい、その結果、自分で遊びを生み出しにくくなる原因の1つになることもあると考えています。

アナログ時計とカレンダーが重なったイメージ画像と、親指を立てる帽子と眼鏡のキャラクターのイラスト
予定のない時間も、子どもにとっては大切な時間です

研究でわかっていること

アメリカのコロラド大学のバーカーさんらの研究チームは、6歳の子ども約70人について、学校以外の時間をどう過ごしているかを保護者に記録してもらい、調べました。

その結果、自由遊びや読書、家族や友だちとのお出かけ、テレビやゲームの時間など、大人の指示やルールが少ない時間が多い子ほど、自分で切り口を切り替えていく力(自己主導的な実行機能)を測る課題の成績がよいという関係が見られました。課題は、決められた仲間の言葉(たとえば食べ物)をできるだけたくさん言うというものです。反対に、習い事や宿題のように大人が決めて進める活動の時間が多い子ほど、成績が低めという傾向(統計的にははっきりしない程度)でした。

対象:6歳の子ども 約70人2014年発表論文(Frontiers in Psychology)

この研究は、ある時点での「関係」を調べたもので、ひとり遊びそのものを測ったわけではありません。なので、自由な時間を増やせば必ず力が伸びる、とまでは言えません。それでも、大人が決めない時間には、子どもが自分で「次に何をしよう」と考える場面が多いはずで、僕はそこに時間の余白の大切さのヒントがあると考えています。

アメリカ小児科学会も、保護者向けのページで、4〜6歳ごろの遊びについて「少しの退屈が、創造性の生まれる余地になる」と伝えています。「ひまだなぁ」という時間は、ムダな時間ではないんですね。

ポイント

余白の時間がどれくらいあればいいかは、厳密には決められませんし、家庭の事情もそれぞれです。まずは「何も予定を入れない時間」を1日のどこかに少しでも確保して、その時間は大人が遊びを用意しすぎないことから始めてみてください。

余白②「空間の余白」をつくる

空間の余白というのは、危険の少ない環境づくりのことだと思ってください。

時間の余白があっても、何かするたびに「危ない!それは触らないで!」と言われてしまうと、集中が続きにくくなります。「また何か言われるのでは?」と不安になって落ち着かなくなり、ひとり遊びが続かないこともあります。

ソファとローテーブルが置かれた、物が少なく明るいリビングと、片手を上げる帽子と眼鏡のキャラクターのイラスト
「ここなら自由にしていいよ」と言える場所があると、見守りやすくなります

空間の余白をつくるために、お子さんの年齢に合わせて、次のようなことを考えてみてください。

  • 危ないものは手の届かない場所へ刃物や薬、洗剤、ボタン電池、小さくて口に入る物などは、必ず子どもの手の届かない場所にしまっておきます。下にきょうだいがいるときは、上の子のおもちゃの小さな部品にも気をつけてください
  • 「ここは自由にしてOK」の場所をつくる部屋の一角やマット1枚分でもいいので、多少散らかしても大丈夫な場所を、逆に確保しておきます
  • 使い方と危なさを教えておくはさみのように危ないものでも、正しい使い方や危険性をきちんと教えておくと、親がいちいち止めなくて済む場面が増えやすくなります。慣れるまでは大人がそばで見守ってください

こうして、親がなるべく声をかけずに見守れる、その子にとって家の空間が「余白」になるようなサポートができるといいなと思います。

TERU

とはいえ、家じゅうを完璧に安全にするのは無理ですよね。

全部の部屋でなくていいので、「この場所だけは口出ししなくていい」という場所が1つあるだけでも、親子ともに少し楽になると思います。

余白③「精神と思考の余白」をつくる

これは空間の余白と少し似ているのですが、子どもが何かに集中しているときに、「それはそうじゃないよ!」「もっとこうしたほうがうまくできるよ!」と声をかけることが多いと、精神的な余白が生まれにくくなります。

1日の中で時間の余白をつくったのであれば、その時間は、求められなければ手出し・口出しをなるべくしない。そして、何か求められたとしても、すぐに答えを渡すのではなく、子どもが自分で考える助けをしてあげられるといいなと思っています。

「つまんない!」と言われたときの返し方

たとえば、お子さんが「やることない〜!つまんないー!」と言ってきたとき。つい「じゃあこれで遊んだら?これ楽しいよ!」と、ある意味での「答え」を渡してしまいがちですよね。

ここで答えを渡す代わりに、遊びを探す「ボール」を子どもに持たせるイメージで、次のような関わり方を試してみてください。

  1. 返し方1サラッと受け止めて、考える余白を渡す

    子どもやることない〜!つまんないー!

    大人そっか、つまらないんだね。何すると楽しいだろうねぇ。お母さんもわからないなぁ。

    気持ちは受け止めつつ、答えは出さずにサラッと返します。お父さんなら「お父さんもわからないなぁ」で大丈夫です。

  2. 返し方2考える「切り口」を渡す

    「前にやって楽しかった遊びは何かある?」と聞いてみます。遊びそのものではなく、思い出すきっかけだけを渡すイメージです。

  3. 返し方3一緒に調べて、選択肢を広げる

    本やネットで遊びを一緒に調べて、「こんなのもあるんだね」と選択肢を広げる助けをします。どれをやるかは、子どもに選んでもらいます。

床に座って子どもとカラフルな積み木で遊ぶ大人の女性と、親指を立てる帽子と眼鏡のキャラクターのイラスト
そばにいるときも、遊びの主役は子どもに任せてみます

どの返し方も、すぐに遊び始めてくれるとは限りません。それでも、「何をするかは自分で決めていい」という経験を重ねていくことが、少しずつひとりで遊ぶ力につながりやすくなると僕は感じています。

ちなみに、自分で決めて取り組む経験は、遊び以外の場面でも大切です。目標に向かって続ける力については、「やり抜く力」の育て方の記事でも紹介しています。

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余白づくりはできる範囲で大丈夫

ここまで3つの余白をご紹介してきましたが、正直、この関わりは結構大変です。忙しい毎日の中で、いつも口出しを我慢して、いつも考える余白を渡して…というのは、現実的ではないですよね。

なので、余裕のあるときに関わってあげれば十分だと思います。できる限り、できる範囲で。これくらいの気持ちで取り組むほうが、長く続けやすいと思います。

これですぐに変わるわけではありませんが、3つの余白づくりは、子どもの成長の本質的なサポートでもあると僕は考えています。

どうしてもひとり遊びが難しい時期には、僕が以前YouTubeで紹介した「自宅でできる×知育や育脳効果あり×親が比較的楽できる遊び5選!」の動画も、役に立つかもしれません。また、1日5分だけ子どもに100%注目する方法を「1日5分の特別タイム」の記事で紹介しています。

まとめ

今日のポイント

  • ひとりで遊べない理由はいろいろ。「私のせい」と思いすぎなくて大丈夫
  • ひとり遊びを支える力の1つが「好奇心」。それを育てるために大切にしたいのが3つの余白
  • 時間の余白:予定を詰め込みすぎず、何もない時間を確保する
  • 空間の余白:「危ない!」と言わずに済む、安心できる場所をつくる
  • 精神と思考の余白:答えより、遊びを探す「ボール」を渡す
  • どれも、余裕のあるときに、できる範囲で大丈夫

よくある質問

何歳くらいからひとりで遊べるようになる?

個人差がとても大きく、「何歳になったらひとりで遊べる」とは言えません。気質によっては、大人と一緒に遊ぶのが好きな時期が長く続く子もいます。年齢で区切るより、3つの余白を少しずつ増やしながら、「さっきは少しの間、自分で遊べていたね」という小さな変化を見てあげるのがおすすめです。

「つまんない」と言われたら、放っておいてもいい?

突き放す必要はありません。「そっか、つまらないんだね」と気持ちは受け止めたうえで、すぐに答えを渡さず、考える余白や切り口を渡してあげるのがポイントです。どうしても難しい日は、一緒に遊んでも大丈夫です。

習い事は減らしたほうがいい?

習い事そのものが悪いわけではありません。お子さんが楽しんでいるものは大切にしながら、1日の中に「何も予定を入れない時間」が少しでも残っているかを見直してみてください。予定がぎっしりで、自分で遊びを考える時間がほとんどないときは、少しゆとりを持たせることを考えてもいいと思います。

ひとりで遊べないのは発達の問題?

ひとりで遊べないことだけで、発達に問題があるとは言えません。好奇心が強くて、気になることを親に伝えたいから呼んでいる子もいます。ただ、ほかにも気になることがあって心配なときは、かかりつけの小児科や地域の保健センター、子育ての相談窓口に相談してみてください。

TERU

この記事を書いた人TERU幼児教育講師/子育て勉強会TERU 代表

幼児教室で、たくさんの親子と関わってきた幼児教育講師。YouTube「子育て勉強会TERUch」(登録者 約13万人)で、子どもの発達や関わり方を研究の知見とあわせて発信しています。Yahoo!ニュース エキスパートとしても活動中。3〜8歳向けの「TERU先生の動画教室」や、オリジナルのひらがな・カタカナ教材も手がけています。

あわせて読みたい

参考文献

  1. Barker, J. E., Semenov, A. D., Michaelson, L., Provan, L. S., Snyder, H. R., & Munakata, Y. (2014). Less-structured time in children's daily lives predicts self-directed executive functioning. Frontiers in Psychology, 5, 593. 論文
  2. American Academy of Pediatrics. The Power of Play: How Fun and Games Help Children Thrive. HealthyChildren.org. 公式ページ

※この記事は一般的な子育て情報としてまとめたものです。お子さんの心や体の状態で心配なことがあるときは、医師や専門機関にご相談ください。

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