公園の芝生で、4歳くらいの男の子がボールを蹴り、大人の男性がしゃがんで拍手している様子

早生まれは不利?差はいつまで続くかと、親ができる5つの心構え

  • 対象:0〜8歳ごろ
  • 参考文献:2件
  • 読み終わるまで:約9分

「早生まれは不利って聞いて、うちの子が心配で…」「周りの子と比べて、劣等感を持たないかな…」。早生まれのお子さんの親御さんから、こうしたご相談を僕はこれまで何度もいただいてきました。

テレビやネットで「早生まれは不利」という話を見かけたら、親としては気になって当然ですよね。

この記事では、早生まれは本当に不利なのかという問いに、僕の正直な考えと研究でわかっていることの両方からお答えします。そのうえで、早生まれの子の子育てで大切にしたい5つの心構えをお話しします。

この記事でわかること

  • 早生まれは不利なのか、幼児教育講師としての正直な考え
  • 早生まれの差はいつまで続くのか、日本の研究でわかっていること
  • 早生まれの子に「早生まれだから」と言わないほうがいい理由
  • 今日からできる、早生まれの子育て5つの心構え
もくじ
  1. 早生まれは不利?結論からお話しします
  2. 早生まれの差はいつまで続く?日本の研究から
  3. 僕の考えは「気にしてもしょうがない」
  4. 心構え1:「早生まれだから」と子どもに言わない
  5. 心構え2:ほかの子と比べないことを強く意識する
  6. 心構え3:今できることをとことん楽しむ
  7. 心構え4:親の頭の中では「早生まれだから大丈夫」でいい
  8. 心構え5:絵本と毎日の会話を大切にする
  9. まとめ
  10. よくある質問

早生まれは不利?結論からお話しします

早生まれは、1月1日から4月1日までに生まれた子どものことです。同じ学年の中では、いちばん後に生まれたグループになります。

では、早生まれは不利なのか。結論から言うと、不利なことはあります。これはきれいごとではなく、あると思っています。

たとえば2月生まれの子と4月生まれの子では、同じ学年でも約10か月の差があります。大人の10か月ならほとんど変わりませんが、成長の早い子ども時代の10か月は大きいですよね。体の大きさや体力、脳の発達、気持ちの面の成長も含めて、差が出るのはしょうがないことです。

実際に、僕がこれまで関わってきた子たちの中にも、早生まれで劣等感を持っていた子は少なからずいました。もちろん、そんなことはまったく気にしない子もいます。そして年齢が上がっていくにつれて、周りと比べて自分は不利だと感じることは、少なくなっていくことが多いです。それでも子ども時代には、それを感じてしまう子が多いと僕は思っています。

早生まれの差はいつまで続く?日本の研究から

早生まれの差については、日本でもいくつか研究があります。ここでは、親御さんに知っておいてほしい2つを紹介します。

研究でわかっていること

経済学者の川口大司さんは、日本の学校のテストの点数のデータと、働く人を対象にした調査のデータを使って、生まれ月による違いを調べました。

その結果、同じ学年の中で早く生まれた子ほど、男女ともにテストの点数が高く、教育を受ける年数も長い傾向が見られました。

対象:日本の学力テストと就業者のデータ2011年発表論文の概要(RePEc)

もう1つは、もう少し細かく「差がいつまで続くのか」を見た研究です。

研究でわかっていること

東京大学の山口慎太郎さん、慶應義塾大学の中室牧子さんらは、首都圏のある県の公立小中学校で行われた学力調査のデータ(小学4年生〜中学3年生)を分析しました。

学力(国語・算数(数学))の差は、調べた中ではいちばん下の学年の小学4年生でいちばん大きく、学年が上がるにつれて小さくなっていました。中学2・3年生で受けた英語のテストでも、差は学年とともに小さくなっていました。一方で、自制心や勤勉性(コツコツ取り組む力)、自己効力感(自分ならできるという感覚)といった「非認知能力」には、小さいながらも学年が上がってもほとんど縮まらない差がありました。

また、早生まれの子は家での勉強時間や読書の時間がやや長い一方で、外遊びやスポーツ、芸術・音楽の活動の時間がやや短く、友だちや先生との関係についての評価がやや低いことも報告されています。

対象:小学4年〜中学3年の学力調査データ2023年発表論文(ワーキングペーパー版・PDF)

つまり、学力の差は少しずつ小さくなっていく一方で、非認知能力や、友だち・先生との関係では、学年が上がっても差が見られたということです。

ここで大事なのは、これはたくさんの子どもを平均した話だということです。早生まれでも勉強や運動が得意な子はたくさんいますし、ひとりひとりの育ちは本当にそれぞれです。とはいえ、こういう数字を見ると、やっぱり心配になりますよね。

研究から見えてくること

差が残りやすいのは、自制心や勤勉性、「自分ならできる」という感覚といった非認知能力と、人との関わりの部分でした。このあとの5つの心構えは、こうした部分にもつながると僕は考えています。

僕の考えは「気にしてもしょうがない」

では、早生まれの子の子育てをどう考えればいいのか。僕の考えは、「気にしてもしょうがない」。これだけです。

何それ?と思われたかもしれません。ちょっと冷たい言い方に聞こえたら、ごめんなさい。でも、これこそどうしようもないことですよね。

僕は、子育ては「子どもの今と未来と向き合っていくこと」だと思っています。早生まれで生まれたという過去は、もう変えられません。変えられない事実にずっと不安を抱えていても、プラスになることはないと僕は考えています。

テレビなどで流れる「早生まれは不利」という情報は、これから妊活をしようとしている人にはある程度役に立つかもしれません。でも、すでに早生まれの子を育てている方にとっては、不安の材料でしかないですよね。それを見たときに不安になってしまう気持ちは、本当によくわかります。

TERU

ちょっとシビアな考え方に感じる方もいるかもしれませんが、僕が正直に思っていることです。

どうしようもない過去のことではなく、子どもの今と未来について一緒に考えていけたらうれしいです。子育て情報との付き合い方については、こちらの記事でもお話ししています。

ここからは、早生まれの子の子育てで僕が大切にしてほしいと思っている、5つの心構えをご紹介します。

心構え1:「早生まれだから」と子どもに言わない

子どもが周りの子と比べて、劣等感を持つ場面に出会ったとします。そんなとき「あなたは早生まれだからしょうがないよ!気にしなくていいよ!」と励ましてあげる方もいるかもしれません。

この言葉が、そのときの子どもの心を救うこともあると思います。ただ、長い目で見ると、僕はこの声かけはなるべく避けたほうがいいと考えています。

小さいころからこう言われて育った子は、競争に負けたり、周りとの差を感じたりしたときに、自然と「私は早生まれだからしょうがない」と、うまくいかない理由を早生まれのせいにしやすくなります。

早生まれは、その子が子ども時代に少なからず背負っていくことになる、どうしようもないことです。それを理由にして、自分が伸びていくことをあきらめてしまうのは、もったいないですよね。

心構え2:ほかの子と比べないことを強く意識する

これは早生まれに限った話ではありませんが、早生まれの子だと特に、親がつい周りの子と比べてしまうことがあると思います。

でも、生まれた時期の違いによる差は、周りの子と比べてもしょうがないものですよね。

子どもは、親からいちばんたくさんの影響を受けると僕は感じています。言葉にしなくても、親が周りの子と比べて不安になっている姿をたくさん見ていると、子どもにも自分と人を比べる目線が育ちやすくなります。

だからこそ、子どもが周りと比べて劣等感を抱かないように、まずは親が周りと比べないことを意識していけるといいなと思います。

  • 「まだできないの?周りの子はできているよ」
  • 「〇〇くんはもう書けるのにね」
  • 「同じクラスの子はみんなできてるよ」

こうした比べる言葉を、無意識に使っていないかも見直してみてください。とはいえ、園の行事や発表会で周りの子の姿を見ると、どうしても比べてしまうのが親心ですよね。そんな自分を責める必要はありません。気づいたときに、少しずつ意識していけば十分です。

ダメ出しや比べる言葉を減らすコツは、ダメ出しを減らす3つのワークの記事でもくわしく紹介しています。

心構え3:今できることをとことん楽しむ

早生まれの子は、周りよりまだできないことが多い時期もあるかもしれません。ですが、周りと比べる目線をなくすと、子どもが今できることが少しずつ見えてきます。それを、とことん一緒に楽しんであげてください。

たとえば、周りの子はサッカーらしい動きができているのに、うちの子はまだボールを蹴るだけで精いっぱい。でもそれは、逆に言えば「蹴る」ことはできているということですよね。

だったら、それを親子で楽しめばいいんです。公園で親子でボール蹴りをとことん楽しんで、「すごいね!」「上手!」「楽しいね!」と声をかけながら関わっていくと、自己肯定感(自分を肯定的に受け止める感覚)や自己有用感(人に認められている、人の役に立てているという感覚)が育ちやすくなります。

公園の芝生で、4歳くらいの男の子がボールを蹴り、大人の男性がしゃがんで拍手している様子
「蹴る」だけでも、親子でとことん楽しめば立派な遊びになります

今できていることに親が目を向けて関わっていくと、それが自信になって、次の成長につながりやすくなります。子どもは、親が認めてくれた力から伸ばしていくことが多いと僕は感じています。

反対に、周りと比べて焦って、親が先のことばかり見ていると、今できていることを認めてあげる機会が減ってしまいます。子どもが今できていることに目を向けて認めてあげられたら、それが次の成長の何よりのパワーになってくれるはずです。

何かに夢中になって楽しむ体験の大切さについては、幼児期の「熱中体験」の記事でもお話ししています。

安全のために

ボール遊びは、まわりに車や自転車が通らない広い場所で行い、近くの人にボールが当たらないように、大人がそばで見守ってあげてください。

心構え4:親の頭の中では「早生まれだから大丈夫」でいい

え?と思われた方もいるかもしれません。心構え1で「早生まれだから」と言わないとお話ししたばかりですよね。

あれは、あくまで子どもに向けた言葉の話です。親の頭の中では、話が違います。

子どもがまだできないことがあったり、周りと比べてどうしても焦ってしまったりするとき、「早生まれだからまだできないだけ。そのうちできるようになる。大丈夫!」とポジティブに考えるのは、僕はOKだと思っています。

そう考えるだけで、気持ちがフッと楽になることがあります。気持ちが楽になれば、人と比べて焦ることも少し減って、今の子どもの姿を前向きに見られるようになるかもしれません。

TERU

子どもには言わない。でも、親が自分の心を軽くするためには使っていい。早生まれという事実を、そんなふうに使い分けてもらえたらと思っています。

心構え5:絵本と毎日の会話を大切にする

これも早生まれに限った話ではありませんが、子どもが園や学校で集団生活をするようになると、とても大切になる力があります。それは、人から言われたことを理解できて、自分の思いや考えを伝えられる力です。

その土台になるのが、絵本の読み聞かせと、毎日の親子の会話です。この2つでコミュニケーションの力を育んでいくことが、集団生活でのいちばんの助けになると僕は考えています。

リビングの床で、大人の女性が4歳くらいの女の子に絵本を読み聞かせている様子
読み聞かせは、自分で読めるようになるのを急がずに、一緒に楽しむ時間にできれば十分です

早生まれだからこう対応しましょう、という特別なことはありません。大切にしたいのは、次のようなことです。

  • 子どもの話を楽しく聞く上手に話せなくても大丈夫です。子どもが話したいことを、興味を持って楽しく聞いてあげてください
  • 親も楽しく話す聞くだけでなく、親のほうからも楽しく話しかけてみてください
  • 読み聞かせの時間を楽しむ早く自分で読めるようにと焦らずに、絵本の時間そのものを親子で楽しんでください
家の玄関で、大人の男性がひざをついて目の高さを合わせ、5歳くらいの女の子の話を聞いている様子
子どもの話を楽しんで聞く時間も、コミュニケーションの力の土台になります

毎日忙しい中で、ゆっくり話を聞いたり、絵本を読んだりする時間をとるのは、正直なかなか大変ですよね。毎日でなくても、できるときに少しずつで十分です。できる限り、できる範囲で。

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まとめ

今日のポイント

  • 早生まれが不利なことはある。でも、変えられない過去は「気にしてもしょうがない」
  • 日本の研究では、学力の差は学年とともに小さくなる一方、非認知能力や人間関係の差は残りやすい
  • 子どもに「早生まれだから」と言わない。ほかの子とも比べない
  • 今できることをとことん楽しみ、親が認めた力を伸ばしていく
  • 親の頭の中では「早生まれだから大丈夫」でいい
  • 絵本と毎日の会話で、伝える・わかる力の土台を育てる
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よくある質問

早生まれの差はいつまで続くの?

小学4年生〜中学3年生を調べた日本の研究では、学力の差は小学4年生でいちばん大きく、中学3年生にかけて小さくなっていました。一方で、自制心や「自分ならできる」という感覚などの非認知能力には、小さいながらも差が残りやすいことも報告されています。ただ、これはたくさんの子どもの平均の話で、ひとりひとりの育ちはそれぞれです。目の前のお子さんの「今できていること」に目を向けてあげてください。

子どもに「早生まれだから」と言ってしまいました

一度言ったからといって、何かが決まってしまうわけではないので安心してください。これから少しずつ、早生まれという条件を持ち出さずに、子どもの悔しい気持ちを受け止めて、その子が今できていることを一緒に喜ぶ関わりを増やしていければ大丈夫です。

周りの子と比べてしまう自分がいやになります

比べてしまうのは、それだけお子さんのことを大切に思っているからだと思います。そんな自分を責めなくて大丈夫です。焦ったときは、親の頭の中で「早生まれだからまだできないだけ。そのうちできるようになる」と考えてみてください。そのうえで、比べる言葉を子どもに向けないことだけ意識してみてください。

早生まれの子には、早めの勉強や習い事が必要?

早生まれだからこれをしなければ、という特別なことはないと僕は考えています。それよりも、今できることを親子で楽しむことと、絵本の読み聞かせや毎日の会話を大切にしてほしいと思っています。

TERU

この記事を書いた人TERU幼児教育講師/子育て勉強会TERU 代表

幼児教室で、たくさんの親子と関わってきた幼児教育講師。YouTube「子育て勉強会TERUch」(登録者 約13万人)で、子どもの発達や関わり方を研究の知見とあわせて発信しています。Yahoo!ニュース エキスパートとしても活動中。3〜8歳向けの「TERU先生の動画教室」や、オリジナルのひらがな・カタカナ教材も手がけています。

あわせて読みたい

参考文献

  1. Kawaguchi, D. (2011). Actual age at school entry, educational outcomes, and earnings. Journal of the Japanese and International Economies, 25(2), 64–80. RePEc
  2. Yamaguchi, S., Ito, H., & Nakamuro, M. (2023). Month-of-birth effects on skills and skill formation. Labour Economics, 84, 102392. DOI

※この記事は一般的な子育て情報としてまとめたものです。お子さんの心や体の状態で心配なことがあるときは、医師や専門機関にご相談ください。

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