「ひらがな、そろそろ教えたほうがいいのかな…」「うちの子、文字に全然興味がないけど大丈夫?」。文字の読み書きについては、本当にたくさんのご相談をいただきます。
僕は、ひらがなを覚えていく近道は、机に向かって教え込むことよりも、子どもの「これ、なんて読むの?」という気持ちを引き出すことだと感じています。
今回は、「何歳から教えたらいいの?」という疑問への僕の考え方と、以前SNSで「子どもが文字を好きになった方法」を募集したときに集まった実体験をもとにした5つの方法をまとめてみました。
この記事でわかること
- ひらがなは何歳から?「早い・遅い」より大切にしたいこと
- 研究でわかっている、ひらがなの読み書きが育つ順番と個人差
- 家の中に文字を「貼る」4つの方法と、文字に出会える遊び
- 子どもの興味がころころ変わっても使える「文字アルバム」の作り方
もくじ
ひらがなは何歳から?「早い・遅い」に正解はない
「文字は早く教えたほうがいい」「いや、早く教えないほうがいい」という意見は、いろいろなところで目にしますよね。
僕の考えはシンプルで、子どもが文字を覚えていくタイミングは、それぞれでいい、というものです。早いか遅いかで、良し悪しが決まるわけではありません。
大切にしたいのは、お子さんの興味と発達です。それを土台にしながら、住んでいる地域の様子やおうちの方針も踏まえて、読み書きの練習をいつ始めるかは、ご家庭ごとに決めていいと思っています。
研究でわかっていること
国立国語研究所などの研究者が、1988年の11〜12月に、東京都と愛知県の保育所・幼稚園に通う子ども1,202人のひらがなの読み書きを調べています。濁音・半濁音を含むひらがな71文字のうち、読めた字の数の平均は、年少クラスで18.6字、年中クラスで49.7字、年長クラスで65.9字でした(調査の時点で、年少クラスは平均4歳2か月ごろ、年中クラスは5歳2か月ごろ、年長クラスは6歳2か月ごろです)。
ただ、同じ年中クラスでも、ほとんど読めない子(0〜4字)が9.3%いる一方で、ほぼ全部(70字以上)読める子が35.7%いて、個人差はとても大きいことがわかります。
また、形も書き順も正しく書けた字の数は、年長クラスで平均44.6字でした。同じ年長クラスで読めた字(平均65.9字)と比べると、かなり少なめです。読める字が先に増えて、書ける字はあとから増えていく、という流れが見て取れます。
35年以上前の調査なので、今の子どもたちとは状況が違うところもあるかもしれません。それでも、同じクラスの中でもこれだけ差がある、ということは知っておいてほしいなと思います。
だからこそ、周りの子と比べて焦るよりも、目の前のお子さんの「知りたい!」「読みたい!」が出てくるタイミングを大切にしたいところです。
この記事でご紹介する方法も、教え込むためのものではありません。文字に興味がわいたり、自然と文字に触れられたりするための「引き出し」として、ご家庭のペースに合わせて取り入れてみてください。
いちばん多かった方法は「貼る」こと
SNSで「子どもが文字を好きになった方法」を募集したとき、圧倒的に多かったのが「何かを貼ったのがよかった!」という声でした。ただ、その貼り方が本当にいろいろで、面白かったんです。ここでは要素を整理して、4つに厳選してご紹介します。
好きなもののひらがな表やポスターを貼る
子どもが楽しく学んでいくために、僕がいちばん大切にしているのは、その子の興味に入り込むことです。同じひらがな表でも、お子さんが好きなものが描かれたひらがな表を選んで貼ってみてください。好きなキャラクターや乗り物と一緒になっているだけで、文字を見る回数が自然と増えやすくなります。もちろん、カタカナや漢字、アルファベットでも同じです。
文字を覚えるための表でなくても大丈夫です。乗り物の写真がずらっと並んだポスターや、キャラクターの一覧ポスターを貼っておくだけでも、それが好きな子は「これ、なんて読むの?」と聞いてきて、写真と文字を見比べながら何度も読もうとすることがあります。
SNSの投稿でなるほどと思ったのが「恐竜」です。恐竜の名前(多くはカタカナです)には、濁点(てんてん)や半濁点(まる)、小さい字などがたくさん出てくるので、教えるのが難しい文字に触れるのにとてもよかった、という声がありました。
ただ、子どもの興味は移り変わりやすいので、あまり高いものを買ってしまうと、ほかのものに夢中になったときに、ちょっともったいないことになるかもしれません。笑
家族の名前を貼る・名札をつける
これは個人的に、かなりいい方法だと思っています。子どもが何かを学んでいくときは、身近なものから覚えていくことが多いです。その入り口になりやすいのが、自分の名前や家族の名前、そして家の中にある物です。
なかでも自分や家族の名前は、子どもが毎日のように耳にする言葉なので、「読みたい!」という気持ちが生まれやすくなります。文字に興味が出てきた時期に、親や家族が家の中で名札をつけてみるのもおすすめです。
TERU家の中で名札って、ちょっと不思議な光景ですよね。笑
でも「この時期の興味のため!」と思えば、あとから振り返ったときに、いい思い出になるかもしれません。
研究でわかっていること
心理学者のトレイマン博士らは、アメリカとオーストラリアの4〜6歳ごろの子どもたちが、アルファベットをどのくらい知っているかを調べました。
すると、自分の名前の最初の文字は、ほかの文字よりも、その文字の名前(Aなら「エー」という呼び方)を正しく言える子が多くいました。一方、文字が表す音を答えるテストでは、この差は見られませんでした。アメリカの4〜5歳の子どもたちを調べた2つめの調査では、自分の名前の最初の文字を、ほかの文字より正しく書けていたことも報告されています。
英語圏の研究ですが、自分の名前の頭文字は、子どもにとってとくに身近で、覚えやすい文字になっていることがうかがえます。
SNSでシェアしてもらったなかで面白かったのが、家族の顔写真を大きく印刷して壁に貼り、その横に名前をひらがなで書いておいたら、自然と読めるようになっていた、というご家庭です。
名札もいいですが、写真と一緒に貼ってあると、子どもにとってはまた特別なものに見えますよね。ことあるごとに家族の名前を読みたくなる仕掛けになっていたのかもしれません。年齢に合わせて、カタカナや漢字にレベルアップさせていくのもいいと思います。
子どもの絵に作品の名前を書き添えて飾る
これもSNSでシェアしてもらった方法で、上手だなと思ったものです。お子さんの絵に、描いたものの名前を書き添えてリビングに飾っておき、いつでも眺められるようにしていたら、文字をどんどん覚えてくれたそうです。
僕は普段から「お子さんが描いたものは、ぜひおうちに飾ってあげてください」とお伝えしています。もともとは、子どもの自信や自己肯定感を育てたいという理由からでした。そこにひらがなやカタカナ、漢字で作品の名前を添えておくと、子どもにとっていちばん興味がわく文字との出会いになりやすいと思います。

「家の中の物に文字を貼ろう」遊び
4つめは、僕の経験では、結構多くのご家庭で効果があった遊びです。遊び方はとても簡単です。
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ステップ1物の名前を書いたカードを用意する
「ごみばこ」「れいぞうこ」など、家の中にある物の名前を、小さなカードや厚紙、コピー用紙に書いて何枚か用意します。ひらがなだけでもいいですし、ひらがなとカタカナを並べて書いても、漢字にふりがなをつけてもOKです。お子さんに合わせて選んでください。
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ステップ2「どこかな?」と探して貼ってもらう
たとえば「つくえ」のカードなら、「つくえはどこかな?見つけて、これを貼ってみよう!」と声をかけて、机を見つけたらテープで貼ってもらいます。何かを貼るのが好きな子や、そういう時期の子なら、こんな単純な遊びでも結構楽しんでくれることが多いです。はがしやすいマスキングテープを使うと、あとで片付けるときも安心です。
コンロやストーブなど熱くなる物は、やけどや、貼った紙が焦げるおそれがあるので、カードにしないでください。包丁や薬、洗剤のように、さわると危ない物も同じです。コンセントのまわりや、踏み台がいる高いところ、お風呂場やベランダは、大人が貼るようにするか、一緒に行って見守ってください。
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ステップ3貼ったままにしておく
一度貼ったカードは、はがさずにそのままにしておきます。自分で貼った特別な文字が家の中にあふれるので、ことあるごとに見たり読んだりしたくなることが多いですし、読めない字があると「これ、なんて読むの?」と聞いてきてくれることもあります。貼っておくだけでいいので、親としてもとても楽です。
TERUこの遊びのいちばんのデメリットは、家の中が文字カードだらけになることです。笑
こればかりはどうしようもないので、この時期だけのインテリアだと思って楽しんでもらえたらうれしいです。
手軽にできる「字幕」の活用
続いては、手間もお金もほとんどかからない方法です。テレビを見るときに字幕の機能をオンにしておくと、子どもが自然と文字に興味を持つきっかけになることがあります。
興味を持たなかったとしても、文字が目に入る機会が増えますし、ひらがな・カタカナ・漢字の区別なく触れられるのもいいところです。字幕つきのYouTubeでも同じことができます。最近はテレビ番組でも画面に文字(テロップ)が出ることが多いので、ありがたいなと感じています。
もちろん、テレビやYouTubeとどう付き合っていくかは、ご家庭でよく考えていきたいところです。そのうえで、もし見せている時間があるのなら、字幕を活用してみてください。
遊びのなかで文字に出会う
文字に興味を持ってもらうには、遊びの要素を取り入れるのもおすすめです。代表的なのは、かるたや、文字が書かれた積み木、押すと文字を読み上げてくれるおもちゃなどですね。ここでは、SNSでシェアしてもらった遊びのなかから、面白いと思ったものを2つご紹介します。
穴をあけた紙で「文字さがし」
大人が紙に小さな穴をあけておき、それを文字カードや文字の積み木、文字がたくさん書かれたページなどの上に重ねて、子どもが穴からのぞいて文字や絵を見つける遊びです。
カードや積み木は、ただ置いてあるだけだと興味を持てない子も多いのですが、こうしたちょっとした工夫で、途端に楽しい遊びに変わることがあります。文字をじっくり見る時間にもなるので、すてきなアイデアだなと思いました。
お散歩で「文字ゲット」
シェアしてくれた方は、お散歩のときにアルファベットの木製パズルを持っていき、看板などでアルファベットを見つけたら、その文字のピースをお子さんに渡して、全部集められたらおうちに帰る、という遊びをしていたそうです。
見つけた文字が手元に集まっていくので、文字と、それを見つけた場所が一緒に印象に残りやすいですよね。一度この遊びをすると、パズルがなくても外で文字を探すのが楽しくなって、お散歩そのものが文字遊びの時間になっていくかもしれません。ひらがなやカタカナでもできるので、とてもおすすめです。文字の数が多いときは、その日に集める文字を少なめに決めておくと、疲れる前に切り上げやすくなります。
外で遊ぶときは、看板を見るのは立ち止まってからにして、車や自転車に気をつけながら楽しんでください。集めたピースはその場で袋に入れていくと、落としたピースを追いかけて道路に飛び出すことも防ぎやすくなります。小さなきょうだいがいるときは、ピースの誤飲にも注意してください。
興味のきっかけとして多かった「お手紙」
これは本当に納得で、たくさんの方が「これがきっかけだった!」とシェアしてくれました。
誰かからお手紙をもらうのは、子どもにとってすごくうれしいことです。まだ文字が読めなくても「読みたい!」と思ったり、まだ書けなくても「お返事を書きたい!」と心が動いたりしやすいんです。親子でも、お友だちとでも、どんな形でもお手紙のやりとりを経験できると、文字への興味がぐっと高まることがあります。

なかには、お手紙が出てくる絵本を読んで「お手紙を書きたい!」となった子もいたそうです。まずは絵本でお手紙の楽しさに触れてみるのもいいなと感じました。
興味にずっと寄り添える「文字アルバム」
最後にご紹介するのは、個人的にめちゃくちゃおすすめしたい方法です。
ここまでの方法は、子どもの今の興味に合わせて準備するものが多くありました。ただ、興味はどんどん移り変わるので、そのたびに新しい準備が必要になって、ちょっと大変なところもあります。
この方法なら、お子さんの「好き」に長く、柔軟に寄り添えます。それが「子どもの興味を集める文字アルバム」です。
作り方はとても簡単で、アルバムを1冊用意して、お子さんが今興味を持っているものの写真や、工作した作品、描いた絵などを貼り、そこにひらがなやカタカナ、漢字、英語などで名前を書き添えていくだけです。
文字アルバムを作るときのコツ
- お子さんと一緒に作る思い入れが生まれて、何度も見返したくなる1冊になりやすいです
- 興味が変わっても、同じアルバムに足していく電車に夢中だった子が、急に虫や葉っぱに興味が移っても、アルバムでやることは変わりません。この1冊が、ずっとお子さんの興味に寄り添ってくれます
- 読めない字は、聞かれたら答える自分の好きなものが集まったアルバムなら、読めない字があると「これ、なんて読むの?」と聞いてきやすくなります。眺めているだけでも、文字に触れるいい時間になります
TERU好きなものに関係していれば、ひらがなもカタカナも漢字も英語も、どんどん吸収しやすいのが子どもだと思います。
よかったら、お子さんの「好き」を集める1冊を作ってみてください。「一緒に」がいちばんのポイントです!
子育て動画やひらがな教材のお試しを受け取れます
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公式LINEを友だち追加するまとめ
今日のポイント
- ひらがなを覚えるタイミングはそれぞれ。早い・遅いに正解はない
- 読める字が先に増え、書ける字はあとから増えていく。個人差も大きい
- 好きなもののひらがな表、家族の名前、子どもの絵など、身近なところに文字を「貼る」
- 字幕・文字さがし・お散歩・お手紙で、文字に出会う回数を増やす
- 興味が変わっても使える「文字アルバム」は、親子で一緒に作るのがコツ

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教材の詳細を見るよくある質問
ひらがなは何歳から教えればいい?
正解はありません。お子さんの興味と発達に合わせて決めて大丈夫です。1988年の調査では、ひらがな71文字のうち、平均すると4歳台のはじめごろで4分の1、4歳台の後半で半分、5歳台のはじめごろで4分の3、5歳台の後半で9割くらいの字が読めるようになっていました。ただ、同じ年齢でも個人差がとても大きいので、平均にとらわれすぎず、まずは「読みたい!」が出てくるような環境づくりから始めてみてください。
文字にまったく興味を示さなくても大丈夫?
文字に興味が出てくる時期は、子どもによって本当にさまざまです。無理に教え込むよりも、好きなものや、自分・家族の名前など、身近な文字に出会う回数を増やしてあげるのがおすすめです。興味のスイッチが入るのを、気長に待ってあげてください。ただ、言葉の発達などほかにも気になることがあるときや、小学校に入ってからも読み書きに強い苦手さが続くときは、ひとりで抱えずに相談してみてください。入学前ならかかりつけの小児科や地域の子育て・発達相談の窓口、入学後なら学校の先生や地域の教育相談の窓口などで話を聞いてもらえます。
書く練習はいつから始めればいい?
本文でご紹介した調査でも、読める字が先に増えて、書ける字はあとから増えていました。書くことには、指先の動きや、文字の形をとらえる力も関わってくるので、まずは「読みたい!」「書いてみたい!」という気持ちを育てることを大切にしてみてください。字の形や書き方が気になってきたときは、子どもの字が汚い原因と改善方法をまとめた記事もあります。
カタカナや漢字も、同じ方法で大丈夫?
はい、今回ご紹介した方法は、カタカナや漢字、アルファベットでも同じように使えます。ひらがなに慣れてきたら、名札やアルバムの文字を、カタカナや漢字(ふりがなつき)にレベルアップさせていくのもおすすめです。書き順については、「漢字の書き順を嫌いにならずに身につける3つの原則」の記事で詳しくお話ししています。

この記事を書いた人TERU幼児教育講師/子育て勉強会TERU 代表
幼児教室で、たくさんの親子と関わってきた幼児教育講師。YouTube「子育て勉強会TERUch」(登録者 約13万人)で、子どもの発達や関わり方を研究の知見とあわせて発信しています。Yahoo!ニュース エキスパートとしても活動中。3〜8歳向けの「TERU先生の動画教室」や、オリジナルのひらがな・カタカナ教材も手がけています。
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参考文献
※この記事は一般的な子育て情報としてまとめたものです。お子さんの心や体の状態で心配なことがあるときは、医師や専門機関にご相談ください。



