「子どもの字が汚くて困っています。正解なのに×をもらうことになったことも…。何か良い方法はありますか?」
これは、私が運営する「TERU先生の動画教室」でも本当によくご質問いただいております。
怖いの字が汚いと、「真剣に書いていない」「練習不足だ」と安易に考えられがちですが、実は全く違う原因が隠れている可能性があります。
今回は、考えられる8つの原因と、ご家庭でできる対策それぞれ解説していきますね!
この内容を動画(YouTube)で見たい方はこちら
子どもの成長に最強な習い事と、習い事なしでも脳を育てる方法 / 子育て勉強会TERUchより原因1:手や指の巧緻性・握力の問題
鉛筆を正しく持ち、思った通りの線を無視するには、指先を精密に動かす「巧緻性(こうちせい)」が必要です。この能力が十分に育っていないと、筆圧のコントロールがうまく疲れて、「線がガタガタになる」「すぐに手がかかる」といったことがあります。
また、シンプルに握力が足りず、筆圧を保てないケースもあります。このような子は「頑張りたいのにうまく書けない」という状況にもあり、周囲の理解が必要です。
対策
粘土やブロック遊びに加え、「紙飛行機づくり」もおすすめです。作る過程で巧緻性が育まれ、飛ばす動作で鉛筆持ちに近い指の使い方が練習できます。また、鉛筆のキャップで机の上のコインを拾い、コップに入れる遊びも、楽しみながら巧緻性や握力を鍛えられます。
原因2:体幹の弱いさと姿勢の不安定さ
きれいな文字は、安定した身体という土台があってこそ書きます。体幹が弱いと腕や手先を支えられず、ペン先が安定しません。
対策
姿勢や体幹の対策については、こちらの動画『子どもの体幹弱い&姿勢悪いの原因と対策』で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
原因3:「目と手の協応」能力の未熟さ
目で見た文字の形を、脳で処理し、その命令を手で再現能力を「目と手の協応」と言います。例えば、「へん」と「つくり」のバランスが悪い、文字がマス目からはみ出すような場合、この能力に課題がある可能性があります。
対策
おすすめは「ティッシュキャッチ遊び」です。親が投げたティッシュが床に落ちる前に子どもがキャッチする、というシンプルな遊びですが、ひらひらと不規則に落ちるティッシュを目で追い、手を動かすことで、「目と手の協応」能力が効果的に鍛えられます。
原因4:ワーキングメモリの未熟さ
お手本となる文字の形や書き順を一時的に記憶し、それを思い出しながら書くプロセスは、「ワーキングメモリ」という脳の機能が担っています。
対策
ワーキングメモリを育む方法は色々ありますが、こちらの記事『子どもの成長に最強の習い事は?脳科学が示すおすすめ2選とその理由』で一つの方法をご紹介していますので、ぜひ見てみてくださいね!
原因5:心理的なモチベーション(モチベーション)
結論から言うと、「書けるけど、面倒だから書きたくない」というモチベーションの問題です。これが原因の場合、対応は非常に難しいですが、対策の選択肢はいくつかあります。
対策
- いつもより綺麗な字が書けた瞬間に気づき、具体的に認めてあげる。
- 綺麗な字を書くことの良さについて、親子で一緒に考えます。
- 大人が楽しそうに綺麗な字を書く姿を見せます。
- 「あなたは字が汚い」みたいに、マイナスのレッテルを貼らない。
原因6:きちんとな学習環境
机や椅子の高さが合わなかったり、手元が暗かったり、テレビの音で集中が鈍かったりすると、文字が乱れやすくなります。 特に、足が床につかずブラブラしていると、体が安定せず、きれいな文字を書くのは難しいです。
対策
正しい机や椅子の高さについても、原因2でご紹介した動画『子どもの体幹弱い&悪い姿勢の本当の原因と対策』の中で解説しています。
原因7:心理的な安全性が保たれていない環境
勉強中にいつも叱られているなど、子どもが萎えてしまう環境では、本来発揮できるべきはずの脳の機能や巧緻性がうまくいかない、結果として文字が汚くなることがあります。
原因8:発達特性によるもの
どうしても書字がうまくいかない場合、DCD(発達性協力運動障害)や、LD(学習障害)の一種であるディスグラフィア(書字表出障害)など、発達特性が関係している可能性も考えられます。
対策
必要に応じて専門家の力も頼ってくださいね。
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学校・園の先生まずは、皆さんの日常を一番よく知る担任の先生や保健室の先生、スクールカウンセラーへ。学校での様子を共有し、どんなサポートが必要か一緒に考えさせていただきます。
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市町村の相談窓口お住まいの地域にある教育センターや子育て支援センター、保健センターなども頼れる存在です。公的な立場で発達に関する相談に応じてくれます、次のステップへつなぐ手助けをしてくれます。
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医療機関医学的な観点からの診断やアドバイスが必要な場合は、小児科(特に「発達外来」など)や児童精神科へ。
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発達障害者支援センター各都道府県・指定都市に設置されており、発達障害に関する総合的な相談窓口です。ご家族からの相談に乗り、医療や福祉、教育など、様々な機関との連携をサポートしてくれます。
【まとめ】多角的な視点で原因を探ろう
今回は、子どもの字が汚いという悩みの裏にある8つの原因と対策について解説しました。
- 手や指の巧緻性や握力
- 体幹の弱いさと姿勢の不安定さ
- 「目と手の協応」能力の未熟さ
- ワーキングメモリの未熟さ
- 心理面の原因
- しっかりな学習環境
- 心理的安全が保たれていない環境
- 発達特性面の原因
「練習不足」と決めつけず、多角的な視点で皆様の状況を見て、適切なサポートをしてあげてね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
幼児教育講師TERUでした。