「低学年のうちは、勉強しすぎない方が後から伸びる」
最近よく聞くこの言葉、私の経験上“正しい”と思っています。しかし、これには重大な条件があります。
ただ勉強しないだけでは、子どもは伸びません。今回は、後伸びする子の絶対条件である『熱中体験』についてお話しします。
【目次】
- 「低学年から勉強しない方が伸びる」の本当の意味
- 「熱中体験」とは何か?なぜ幼児期が重要なのか
- 子どもの「熱中」を育む3つの考え方
- 【まとめ】勉強よりも大切な「熱中体験」をサポートする
「低学年から勉強しない方が伸びる」の本当の意味
私の経験上、幼少期から勉強漬けだった子は、高学年で失速し、低学年の頃はあまり勉強してこなかった子に抜かれてしまうケースを多く見てきました。
しかし、これは「勉強しない=後から伸びる」という単純な話ではありません。
本質は、『勉強に力を入れない代わりに、子どもがどんな体験をするか』です。そして、その答えが『熱中体験』なのです。
熱中体験とは、自分の好きなことに完全に没頭し、イキイキしている状態のこと。この経験こそが、勉強はもちろん、人生のあらゆる場面で成長していくための最も大切な土台となります。
「熱中体験」とは何か?なぜ幼児期が重要なのか
では、熱中体験とは具体的に何でしょうか。その基本は『遊び』です。
子どもが一番好きなこと、最も熱中できることは、ほとんどの場合「遊び」です。だからこそ、幼少期から低学年の時期に遊びの時間を削って勉強に時間を割くと、熱中体験が不足し、後々伸び悩む原因になりかねません。
「では、高学年から遊ばせれば良いのでは?」と思うかもしれませんが、それは難しいのです。
人間の「遊びに熱中する力」は、幼児期から小学校低学年がピークで、年齢とともに落ちていきます。一方で、物事を理解したり思考したりする力は、年齢とともに育っていきます。
熱中する力が強い低学年までは「遊び」を中心に。思考力が伸び、勉強がしやすくなる高学年から「勉強」にシフトする。これこそが、子どもの脳の成長に合った、最も効率の良い方法なのです。(もちろん、お子さん自身が勉強に熱中している場合は、それが最高の熱中体験です!)
子どもの「熱中」を育む3つの考え方
では、ご家庭でお子さんの熱中体験をサポートするために、大切にしてほしい3つの考え方をご紹介します。
①「遊び」ではなく「夢中な状態」が大事
熱中体験というと、おもちゃで遊ぶ姿を想像しがちですが、本質はそこではありません。『熱中体験=子どもがイキイキして夢中になっている状態』そのものです。
車をじっと観察すること、虫をとことん集めること、物を分解すること、人を笑わせること、石を集めること。どんなことでも、子どもが夢中になっていれば、それが最高の熱中体験です。「遊び」という型にはめて考える必要はありません。
②「子ども自ら」が絶対条件
子どもが何かに熱中するための根底には、『子ども自ら』という絶対条件があります。親が「これやってみよう!」と与えすぎたものは、熱中体験にはなりにくいのです。
親がすべきことは、まず「自由にできる時間を作ってあげる」こと。そして、子どもが自分で世界を広げられるように「選択肢を増やしてあげるフォロー」です。様々な場所に連れて行ったり、「こんなこともあるよ」と教えたり、親自身が熱中する姿を見せたり。子どもが『自ら何かを始めるチャンス』を奪わないことが大切です。
③ 食いついたら「型にはめず、好きなだけ」
これが熱中体験を育む奥義です。「関心を持ったその時がベストタイミング」だということです。
子どもの好奇心は、移り気です。その動きをなるべく邪魔せず、何かに食いついたら、好きなだけやらせてあげる。これが、子どもが熱中体験をする一番の方法です。
また、「それはこうやって遊ぶもの」「そうやって使うものじゃない」という大人の型にはめないことも重要です。使い方が違っても、子どもが楽しそうに取り組んでいるなら、それがその子の最高の学び方なのです。
【まとめ】勉強よりも大切な「熱中体験」をサポートする
今回は、「低学年から勉強しすぎない方が後から伸びる」という言葉の真意と、その鍵となる「熱中体験」について解説しました。
- 「勉強しない」だけでは伸びない。その時間に「熱中体験」をすることが重要。
- 熱中体験とは、子どもがイキイキと夢中になっている状態そのもの。
- 親の役割は、子どもが「自ら」始められる時間と選択肢を与え、子どもの興味を邪魔せず、型にはめず、好きなだけやらせてあげること。
熱中体験のない幼児期・低学年にならないように、良いサポートをしてあげてくださいね!
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
幼児教育講師TERUでした。