「気づくとまた爪を噛んでいる…」「何度言ってもやめてくれない」。子どもの爪噛みについては、僕のところにも、同じようなご相談をいくつもいただいてきました。
爪噛みを調べると、かならずと言っていいほど「ストレス」という言葉が出てきます。でも、そう言われると親としては焦りますし、「自分の子育てに何か問題があるのかな」と深く悩んでしまいますよね。
そこで今回は、ストレスや愛情不足の話をする前に、子どもが爪噛みから抜け出すきっかけとして親ができる工夫を、7つのアイデアにまとめてみました。
この記事でわかること
- 子どもの爪噛みがどのくらいよくあることなのか
- 爪噛みの原因を「ストレス」だけで考えなくていい理由
- 爪噛みをやめるきっかけになる、家庭でできるアイデア7つ
- 癖なのかストレスなのかを考えるときの、観察のコツ
もくじ
子どもの爪噛みは、めずらしいことではない
まず最初にお伝えしたいのは、爪噛みに悩んでいるのはあなただけではない、ということです。
子どもの爪噛みは、研究を見ても、かなり多くの子に見られます。僕自身、最初に数字を見たときは「こんなに多いんだ」と驚きました。
研究でわかっていること
日本の双子の子どもたちを調べた大木秀一さんの研究では、12歳までに爪噛みがあった子は、男の子で28%、女の子で26%でした。男女の差ははっきりしませんでした。
同じ研究では、爪噛みのしやすさの個人差の半分ほどが、遺伝的な要因で説明されると報告されています。
つまり、この研究では4人に1人くらいの子が、12歳までのどこかの時期に爪を噛んでいたということです。爪噛みのしやすさには生まれつきの部分もあるので、「育て方が悪かったからだ」と自分を責めなくて大丈夫です。
悩んでいる親御さんはたくさんいるので、ひとりで抱え込まずに、一緒に考えていけたらと思っています。
爪噛みの原因は「ストレス」だけ?
爪噛みとストレスの関係は、これまでの研究でも言われてきたことなので、そういう面もあるのだと思います。
ただ、「ストレスが原因」という言葉だけで爪噛みをひとくくりにするのは、少し極端だと僕は感じています。実際には、ただの癖だったり、ほかの工夫でやめられたりすることも多いと実感しています。
研究でわかっていること
爪噛みについての研究をまとめたガニザデ博士の論文では、爪噛みは不安よりも、退屈なときや、むずかしい問題に取り組んでいるときに起こることが多いと紹介されています。
また、罰を与えることは爪噛みの対策として効果がないとされています。
テレビを見ているときや、ぼーっとしているとき。手が空いていると、つい口に指がいってしまう。爪噛みには、そんな「手持ち無沙汰」から始まっているものもあると僕は感じています。
そう考えると、親ができることも「心のケア」だけではなくて、手の使い方を変えたり、気づくきっかけを作ったりと、いろいろ見えてきます。
やめさせる前に大切にしたい「気楽さ」
このあとアイデアをご紹介していきますが、その前にもうひとつだけ大切なことがあります。それは、親が過敏になりすぎないことです。
爪を噛むのが恥ずかしいと感じるようになって、時期がきたら自分でやめていく子もたくさんいます。「気にしていなかったら、いつの間にかやめていた」というご家庭も多いです。
むしろ、もし爪噛みの原因がストレスだった場合、親からの「やめなさい」というプレッシャーが、かえって新しいストレスになってしまうこともあります。
TERUなので、このあとのアイデアは、親が躍起になって「絶対にやめさせよう!」という気持ちで試すのではなく、「やめてくれたらラッキー!」くらいの気楽な気持ちで使ってみてください。
とはいえ、ボロボロの爪を見ると心配になりますよね。その気持ちは、本当によくわかります。
爪噛みをやめるきっかけになるアイデア7つ
ここからは、僕の知識に加えて、専門家の方の意見も参考にしながら、これは効果がありそうだと思った方法を7つご紹介します。
すべての子に効く方法はないので、アイデアは多いほど、どれかがお子さんに合う可能性が高くなります。年齢や性格に合いそうなものから、気軽に試してみてください。
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アイデア1手でいじれるグッズに置き換える
爪を噛む代わりに、手でいじれるものを用意して、行動を置き換えていく方法です。よく使われるのは、握るとぷにぷにするストレスボールです。楽しく握っているうちに、手の行き先が少しずつボールに向いていくことがあります。
ほかにも、包装用のプチプチや、プチプチをおもちゃにしたものもおすすめです。手持ち無沙汰になったらこれで遊ぶ、という流れを作っていくイメージです。包装用のプチプチはちぎって口に入れることがあるので、小さい子は大人が見ているところで使ってください。ストレスボールは対象年齢を確かめて、破れたら使うのをやめてください。小さなパーツが取れるものは、口に入れる年齢の子や、下のきょうだいがいるときは避けてください。
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アイデア2苦いマニキュアを塗る
爪噛みをやめるための、苦い味のする専用のマニキュアを塗る方法です。噛んだときに苦味を感じるので、それをくり返すうちに、少しずつやめていける子がいます。
選ぶときは、爪噛み防止のために作られたもので、苦味をしっかり感じられるものがいいと思います。使える年齢や使い方は商品によって違うので、パッケージの表示を必ず確かめてください。指先に傷や赤みがあるときは、薬剤師さんに相談してから使うと安心です。
ちなみに、幼児の女の子の場合、苦いマニキュアではなく、子ども向けのかわいいマニキュアを塗ってあげたら、それが気に入って爪をきれいに保ちたくなり、爪噛みをやめた、というお話を聞いたこともあります。
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アイデア3爪噛みがテーマの絵本を読む
そもそも爪を噛むことがなぜよくないのか、わかっていない子もいます。そんな子には、絵本で一緒に知っていく方法がおすすめです。
たとえば『つめかみおばけ』(よしむらあきこ 作、教育画劇)は、爪を噛む癖のある子とおばけのお話を通して、爪の大切な役割や、爪の先にたまる細菌のことを、子どもにもわかりやすく伝えてくれる絵本です。幼児〜小学校低学年の子に読み聞かせてあげたい1冊です。

爪を噛むとどうなるのかを、絵本を通して一緒に知るのもひとつの方法です -
アイデア4爪を噛むとどうなるかをまっすぐ伝える
絵本は幼児向けですが、小学生くらいになったら、爪を噛むとどうなるかを、そのまま伝えたほうがスムーズな場合もあります。
実際に、歯医者さんで「爪を噛むと歯並びに影響することがあるよ」と教えてもらったことがきっかけで、爪噛みをやめられた子もいます。見た目を気にし始める年齢なら、リアルに伝えることがやめるきっかけになるかもしれません。
一緒にネットで「爪を噛むとどうなるか」を調べてみるのもひとつの手です。ボロボロになった爪の写真を見て、「やめよう」と思えることがあります。ただ、検索すると刺激の強い画像が出てくることもあるので、大人が先に見て、見せるものを選んであげてください。
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アイデア5「爪噛んでるよ〜!」と軽く教える
これは幼児教育の視点からの、声かけの方法です。爪噛みを見ると、つい「爪を噛まないの!」「噛んだらダメでしょ!」と言いたくなりますよね。
でも子どもの脳はシンプルで、「ダメ」と言われるほどやりたくなってしまうことがあります。それに、たいていの子は、爪を噛むのがよくないことはもうわかっているんです。
大人あ、爪噛んでるよ〜!
子どもあっ!
無意識に噛んでしまっている子も多いと思います。なので、軽い雰囲気で「今、噛んでるよ」と教えてあげるだけにします。気づいて、止める。これをくり返す練習が大切なんです。
「ダメ!」はそれ自体がストレスになることがありますが、教えてあげるだけなら、言葉によるストレスは少なくてすみます。さらに、先に「爪を噛んでいたら教えてあげようか?」とお子さんに聞いて、本人がいいと言ってから始めると、もっといいと思います。
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アイデア6好きな爪切りで、定期的に短く切る
爪を定期的に短く切っておくと、噛みにくくなってやめやすい、というアドバイスはよく見かけます。そこにもうひと工夫して、お子さんの好きなキャラクターなどの、かわいい爪切りを用意してみる方法です。
爪切りの時間を楽しみにできると、「その爪切りで切りたいから、噛むのはがまんしよう」と思えることがあります。小さいうちは爪切りは大人がおこない、深爪にならないように気をつけてください。
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アイデア7爪に小さな絵を描いてあげる
これも幼児向けの方法です。爪に動物やキャラクターの絵を小さく描いてあげて、噛んだあとに「あっ!くまさんが痛いって言ってるよ!」とあわてて伝えます。
この方法でやめられた子のご家庭では、保育士さんにも協力してもらって、園でも同じように声をかけてもらったそうで、かなり効果があったとのことでした。なるほど、と思いますよね。
描くときは、文房具の油性ペンは肌に使うものではないので避けて、肌に使えると表示されているペンを選び、表示どおりに使ってください。噛んで口に入ることもあるので、心配なときは無理にこの方法を使わなくて大丈夫です。
研究でわかっていること
先ほどのガニザデ博士の論文では、苦い物質を爪に塗る方法にも効果があったという報告が紹介されています。一方で、親が不快なものを爪に塗るだけでは、うまくいかないことが多いとも書かれています。
また、その効果は、噛みそうになったときに、こぶしを握るなど噛むのと同時にはできない動きをする方法ほどではなかったとされています。苦いマニキュアだけに頼らず、アイデア1のような、手を別のことに使う工夫と組み合わせてみるのもおすすめです。
ポイント
すでに試したことのあるアイデアもあったかもしれません。ひとつでダメでも、組み合わせたり、時期を変えてもう一度試したりすると、うまくいくことがあります。
大切なのは「やめさせる」より「やめるきっかけを増やす」くらいの気持ちでいることです。
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公式LINEを友だち追加する癖かストレスかは、「いつ噛むか」を見てみる
爪噛みが癖なのか、ストレスからきているのか。これを完全に見分ける方法はありません。でも、ひとつの手がかりとして「いつ爪を噛んでいるか」を観察してみるのはおすすめです。

- 癖に近いかもしれないときテレビを見ているとき、ぼーっとしているときなど、手持ち無沙汰なときに噛んでいることが多い
- ストレスが関係しているかもしれないとき叱られたあと、何か嫌なことがあったあと、下の子が生まれたばかりで、親が下の子のお世話をしているときなどに噛むことが多い
もちろん、これは100か0かではありません。どちらが原因かを決めつけるためではなく、お子さんの気持ちを感じ取るために見てみると、何かできることが見えてくるかもしれません。
もしストレスと関係していそうだと感じたら、その原因に対して親として何かできないかを考えてみるのも、爪噛みが落ち着くきっかけになることがあります。
たとえば、下の子のお世話をしているときに噛むことが多いなら、できる範囲で上の子と過ごす時間を作ってあげる、くらいしかできないかもしれません。短い時間でも子どもに100%注目する関わり方は、1日5分の特別タイムの記事で詳しく紹介しています。
叱ったあとに噛むことが多いと気づいたときは、普段の声かけを振り返ってみるきっかけにもなります。ダメ出しを減らすワークを紹介した記事もあるので、よかったら参考にしてみてください。
TERUひとつお伝えしておきたいのは、「ストレスで爪噛み=愛情不足」ではないということです。
お子さんのことが心配で、こうして調べている親御さんのお子さんが、愛情不足なわけがありません。どうか安心して、できることからやってみてください。
こんなときは相談してみてください
爪噛みは、ここまでのような工夫で様子を見ていけることも多いと思います。とはいえ、次のようなときは、ひとりで抱え込まずに相談してみてください。
相談を考えたいとき
- 指先や爪のまわりが赤くはれている、血が出る、痛がるなど、指先の様子が気になるとき
- 爪だけでなく、指のまわりの皮膚まで強く噛んでしまうとき
- 爪噛みのほかにも、元気がない、眠れないなど、いつもと違う様子が続いて心配なとき
指先の状態が気になるときは、かかりつけの小児科や皮膚科へ。気持ちの面や様子が心配なときは、かかりつけの小児科や、お住まいの地域の保健センター、子育ての相談窓口などに相談してみてください。話を聞いてもらうだけで、親の気持ちが軽くなることもあります。
まとめ
今日のポイント
- 研究では、12歳までに4人に1人くらいの子に爪噛みが見られている
- 原因は「ストレス」だけとは限らない。手持ち無沙汰や、ただの癖のことも多い
- 「やめさせよう!」より「やめてくれたらラッキー!」くらいの気楽さで
- 置き換えグッズ、苦いマニキュア、絵本、まっすぐ伝える、「爪噛んでるよ〜!」、好きな爪切り、爪の絵。アイデアは多いほど、どれかが合いやすい
- 「いつ噛むか」を観察すると、癖かストレスかの手がかりになる
- ストレスで爪を噛むことがあっても、それは愛情不足という意味ではない
よくある質問
子どもの爪噛みは何歳ごろから始まる?
個人差が大きいのですが、研究のまとめでは、3〜4歳ごろより前に始まることはあまりないとされています。日本の双子の研究では、12歳までに4人に1人くらいの子に爪噛みがありました。年齢そのものより、どんなときに噛んでいるかを見てあげるほうが、関わり方のヒントになりやすいと思います。
爪噛みは、放っておいても大丈夫?
時期がきたら自分でやめていく子もたくさんいます。気にしていなかったら、いつの間にかやめていたというご家庭も多いです。親が過敏になりすぎるとかえってプレッシャーになることもあるので、アイデアを試すなら気楽な気持ちで。ただ、指先が赤くはれる・血が出るなど、指先の様子が気になるときは、かかりつけの小児科や皮膚科に相談してみてください。
爪を噛んでいるのを見たら、注意したほうがいい?
「ダメ!」と叱るより、「爪噛んでるよ〜!」と軽い雰囲気で教えてあげるのがおすすめです。無意識に噛んでいる子も多いので、気づいて止める練習をくり返すことが大切です。先に「噛んでいたら教えてあげようか?」と本人に聞いておくと、もっと受け入れやすくなると思います。
爪噛みは愛情不足が原因?
爪噛みにストレスが関係していることはありますが、それがそのまま愛情不足という意味ではありません。爪噛みは退屈なときや手持ち無沙汰なときにも起こりやすく、なりやすさには生まれつきの部分もあると、双子の研究で報告されています。自分を責めずに、できることから試してみてください。

この記事を書いた人TERU幼児教育講師/子育て勉強会TERU 代表
幼児教室で、たくさんの親子と関わってきた幼児教育講師。YouTube「子育て勉強会TERUch」(登録者 約13万人)で、子どもの発達や関わり方を研究の知見とあわせて発信しています。Yahoo!ニュース エキスパートとしても活動中。3〜8歳向けの「TERU先生の動画教室」や、オリジナルのひらがな・カタカナ教材も手がけています。
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参考文献
- Ooki, S. (2005). Genetic and environmental influences on finger-sucking and nail-biting in Japanese twin children. Twin Research and Human Genetics, 8(4), 320–327. Cambridge Core
- Ghanizadeh, A. (2011). Nail biting; etiology, consequences and management. Iranian Journal of Medical Sciences, 36(2), 73–79. PMC
※この記事は一般的な子育て情報としてまとめたものです。お子さんの心や体の状態で心配なことがあるときは、医師や専門機関にご相談ください。



