「時計の読み方って、どうやって教えたらいいの?」「長い針と短い針の説明をしても、全然ピンときていない…」。時計の教え方は、僕がこれまでたくさんいただいてきたお悩み相談のひとつです。
この記事では、時計を理屈で教え込むのではなく、遊びや毎日の生活の中で、子どもが自然と時計を読めるようになっていく方法をまとめました。
秒針から始めて、分針、時針へと進む3つのステップと、それぞれの具体的な遊びを紹介していきます。お子さんの今の様子に合いそうなところから、つまみ食いのように取り入れてみてください。
この記事でわかること
- 時計の練習を始める目安と、小学校で習う時期
- 練習に使いやすい時計の選び方
- 毎日の声かけでできる、いちばん大切な土台づくり
- 秒針→分針→時針の3ステップと、親子でできる時計遊び
- 読めるようになることより大切にしたい「時間の感覚」
もくじ
時計は「教える」前に、遊びで種まきを
時計の教え方で僕がいちばん大切にしているのは、時計を理屈として教える前に、毎日の生活や遊びの中で種まきをしておくことです。
「長い針が分で、短い針が時で…」と説明から入ると、子どもにとっては覚えることが一気に増えてしまいます。それよりも、時計を見る・数える・動かすといった体験を先にたくさんしておくと、あとから説明を聞いたときに「あ、あれのことか」とつながりやすくなります。
これまで多くの子どもたちと関わってきて、この種まきをしっかりしておいた子ほど、気づけば時計が読めるようになっていることが多いと僕は感じています。
今回紹介する遊びの中には、教育家の小川大介さんの本『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』(大和書房)から学び、僕が現場で取り入れてきたものも入っています。全体の流れは僕の経験をもとに組み立てたもので、小川さんがこの順番を勧めているわけではない点だけ、先にお伝えしておきますね。
TERU時計の練習というと、ドリルやプリントを思い浮かべる方も多いと思います。もちろんそれも役に立ちますが、まずは「時計っておもしろい」と感じてもらうところから始めるのがおすすめです。
時計の練習は何歳から?
時計の練習を始める目安は、年齢よりも「1〜60まで数えられるようになったら」と考えてもらえたら大丈夫です。秒も分も60で一周するので、まずはそこまで声に出して数えられることが、時計遊びのスタートラインになります。
60まで数えられるようになる時期は、子どもによってかなり差があります。周りの子と比べて焦る必要はありません。お風呂で一緒に数えるなど、数遊びを楽しんでいるうちに、自然とたどり着くことも多いです。
小学校で習う時期の目安
文部科学省の学習指導要領の解説(算数編)では、1年生で「時刻の読み方」、2年生で「時間の単位と関係」(日・時・分)、3年生で「時間の単位(秒)」や時刻・時間を求めることを学ぶ流れになっています。
つまり、入学前に完璧に読めている必要はありません。幼児期は、学校で習うときに「知ってる!」と思えるくらいの下地づくりができていれば十分だと僕は考えています。
練習に使う時計の選び方
時計遊びをするなら、リビングのかけ時計と、手元で動かせる置き時計の2つがあると便利です。置き時計は、電池を抜いて裏のつまみで針を回す遊びにも使います。
選ぶときの条件は、とにかくシンプルで見やすいことです。そのうえで、次のような特徴があると練習がぐっと楽になります。
- 分や秒を数えるための数字がふってある文字盤のまわりに1〜60の数字がある知育時計なら、秒針や分針を目で追いながら数えられます
- かけ時計と置き時計のデザインがそろっている同じシリーズでそろえると、場所が変わっても見え方が同じなので、子どもが混乱しにくくなります
- 「何時」の範囲がわかりやすい短い針が指す「〇時」の範囲を色分けなどで示してくれる時計もあり、仕上げの段階で助けになります
もちろん、今おうちにある時計でも十分に始められます。新しく買うかどうかは、お子さんの興味の様子を見ながらで大丈夫です。
いちばんの土台は「〇時〇分」の声かけ
具体的な遊びに入る前に、時計が読めるようになるまでずっと意識してほしいことがあります。それは、毎日の生活の中で、大人が時計を読む見本をたくさん見せることです。
やることはとてもシンプルで、時間を伝えるときに「〇時〇分」と正確な言葉で伝えるだけです。
たとえば、「もうすぐ出るよー!」の代わりに、「8時10分に出るよ。今は8時ちょうどだね」と伝えるイメージです。
「そんなの普段からやってるよ」と思われるかもしれません。でも実際には、「もうすぐ」「あとちょっと」「そろそろ」のように、時間をあいまいに伝えている場面は思った以上に多いものです。
家を出る時間、夕ごはんの時間、寝る時間など、時刻を言える場面で一緒に時計を見て確かめる。その積み重ねが、そのまま時計の読み方の見本になります。
さらに、時間をあいまいにしないことで親子の間に「何時に何をするか」の共通の目安ができて、子ども自身も動きやすくなることがあります。とはいえ、朝のバタバタした時間に毎回正確に言うのはなかなか大変ですよね。言えるときだけで十分なので、気負わずに続けてみてください。
時計が読めるようになる3ステップ
ここからは、僕がおすすめしている3つのステップを紹介します。時計の教え方を調べると、「まずは短い針(時針)から」という手順をよく見かけると思います。もちろんそれでも読めるようになりますし、王道の方法のひとつです。
ただ、時針や分針は動きがとてもゆっくりなので、子どもは時間の流れを体で感じにくいことが多いんです。子どもは頭で理解するより、体で感じながら覚えていくほうが得意なことが多いので、僕はいつも動いていて数えやすい秒針から遊び始めることをおすすめしています。
ステップ1:秒針で遊ぶ
最初のステップは、秒針と仲良くなることです。秒針で遊ぶ方法は3つあります。
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遊び1秒針を一緒に数える
小川さんも本の中で勧めている遊びです。ときどきお子さんと一緒に時計を眺めながら、秒針の動きに合わせて「1、2、3…60」と数えていきます。
ほとんど動かない分針や時針と比べると、秒針はどんどん進んでいくので、興味を持ってくれる子が多いです。
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遊び2毎日の中で「何秒かな?」を測る
数えることに慣れてきたら、今度は秒を生活の中で体感していきます。子どもの1日には、60秒以内で終わることがたくさんあります。
- 電車のおもちゃで遊んでいるなら「線路を一周するのに何秒かな?」
- 積み木が好きなら「3つ積むのに何秒かな?」
- 着替えのときに「ズボンをはくのに何秒かな?」
- 壁にタッチして戻ってくる遊びにハマっているなら「何秒で戻ってこられるかな?」
置き時計を持ってきて、秒針がちょうど12のところ(0秒)に来たらスタートし、一緒に何秒かかったかを確かめます。壁タッチのように体を動かして測るときは、家具の角にぶつからないか、床がすべりやすくないかを先に見ておいてください。
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遊び3目をつぶって「10秒」を当てる
これも小川さんが、時間の感覚を育てる遊びとして紹介しているものです。時計を目の前に置き、秒針が0秒のところに来たら目をつぶります。そして、たとえば「10秒たった」と思ったところで目を開けて、ぴったりだったら勝ちというゲームです。
親子で交互にやると、親の番のときに、子どもは真剣に時計を見つめながら心の中で秒を数えます。このとき子どもは時間の流れを体で感じている、と小川さんは書いています。

時計の教え方にはいろいろな方法があって、どれが正解ということはありません。ただ、読めるようになることだけをゴールにするよりも、「読む」と「体で感じる」を組み合わせて進めていくほうが、小学校で時刻や時間を学ぶときの大きな助けになると僕は考えています。ここまでの3つの遊びは、まさにその2つを一緒にできる遊びです。
「違う針も動いてるね」と気づいたら
秒針で遊んでいると、あるとき子どもが「違う針も少し動いてるね?」と気づくことがあります。分針です。気づいたら「よくわかったね!細い針が一周すると、太くて長い針が1つ分動くんだね」と教えてあげてください。
なかなか気づかないときは、「この針(秒針)が一周すると、こっちの針(分針)はどのくらい動くかな?」と聞いて、一緒に観察してみましょう。
さらに続けていると、「この短い針は動かないの?」と時針に興味を持つ子も出てきます。そのときは、時計をスマホで写真に撮っておいて、しばらくしてから「あの短い針、動いたかな?」と写真と見比べてみてください。「動いてる!」と変化に気づけたら、それで十分です。
ステップ1のゴール
この段階では、針を正確に読めなくても大丈夫です。「秒針は一周で60秒」「秒針が一周すると太くて長い針(分針)が1つ動く」「短い針(時針)はもっとゆっくり動く」。このくらいがなんとなくわかっていれば、次に進めます。
ステップ2:分針で遊ぶ
秒針を数えて体で感じ、ほかの針の動きもなんとなくわかってきたら、次は分針です。ここでのおすすめの遊びは2つです。
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遊び4分針を数える
まず「これは1分、2分と分を数える針なんだよ」と伝えます。そして秒針のときと同じように、0分ちょうどから眺め始めて「1分、2分…」と数えていきます。
60分まで数える必要はありません。子どもがじっと眺めていられるのは5分くらいまでのことが多いので、秒と分の関係をあらためて確かめて、分の数え方を体験できれば十分です。
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遊び5分針をぐるぐる回す
これも小川さんが勧めている遊びです。置き時計の電池を抜いて、裏のつまみで針を手で回します。ぐるぐる回すだけでも、子どもにとっては楽しい遊びになります。
電池は大人が抜いて、子どもの手の届かないところにしまっておいてください。特にボタン電池は、小さな子が口に入れると危険です。
回すことに慣れてきたら、「長い針を20分のところに合わせられるかな?」と出題して、子どもに針を合わせてもらいます。うまく合わせられるようになったら「44分にしてみて!」「31分は?」と、いろいろな数字で遊んでみましょう。
ポイントは「親子で交互に」
子どもにばかり出題していると、だんだん勉強のような雰囲気になってしまうことがあります。「じゃあ次は、問題を出す係を交代しよう!」と入れかわると、クイズ番組みたいになって、さらに楽しめることが多いです。
大人が針を回しているところを見るのも、子どもにとってはそのまま見本になります。
遊びのほかには、毎日の中で「今、何分かな?」と聞いてみたり、「10分までにお片付けしようね」と分を意識した声かけをしたりするだけで大丈夫です。
ステップ3:時針を加えて仕上げる
ここまでの遊びをたくさんしていると、「〇分〇秒」は読めるようになっていることが多いです。あとは、そこに「〇時」をつけ加えるだけです。
「この短い針は1時、2時って読むんだよ。この大きな数字を読むよ」と伝えると、「〇時〇分〇秒」がそろいます。仕上げの遊びは2つです。
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遊び6時針と分針をぐるぐる回す
遊び5と同じように置き時計の針を回しながら、今度は「3時15分に合わせて」と時針も含めて出題します。分針だけのときより回すのが大変ですが、長い針が一周すると短い針が次の数字に進む、という2つの針の関係を、自分の手で確かめられる遊びです。
このとき、出題した時刻を紙に書いて見せてあげるのもおすすめです。「12時15分」のように、ふりがなもつけて書いておきます。口で言っている時刻が、文字ではどう書かれるのかを結びつけていくのも大切なことです。その場で子どもが書けるようになる必要はないので、見せて種まきをするつもりで書いてあげてください。
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遊び7タイムキーパーをお願いする
小川さんが勧めている遊びです。公園に行く時間、絵本を読む時間、好きな番組が始まる時間など、子どもがわくわくする時間を選んで、「4時30分になったら公園に行く時間だから教えてね」とタイムキーパーをお願いします。
自分の生活の中の時間を自分で見張ることで、時計がどんどん「自分ごと」になっていきます。忘れていそうなときは「まだ大丈夫かな?」とひと声かけてあげてください。

仕上げの段階でも、最初にお伝えした「〇時〇分」の声かけは、引き続き大切にしてください。
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公式LINEを友だち追加する秒針から始める理由と、焦らなくていいこと
秒から体感して、次に分を教えていく方法は、少し変わったやり方に見えるかもしれません。この方法のいいところは、秒と分までは「60で一周する」という同じルールだけで理解できることです。
1〜60の数字がふってある時計なら、秒も分も、数字を読むだけで数えられます。まずは60で数える秒と分をクリアして、最後にひとつだけルールの違う時針をつけ加える。少なくとも僕の経験では、このほうが子どもの頭の中がこんがらがりにくいと感じています。
はじめから時針と分針を一緒に教えようとすると、ルールの違う2つの針を同時に覚えることになるので、混乱しやすいのかもしれません。さらに秒や分は、「〇秒でできた」「〇分までに」のように生活の出来事と結びつけて体感しやすいのも、幼児期に向いているところです。
ただ、「時針から教えるか、秒針から教えるか」は、そこまで重要なことではありません。僕が秒針から始めるのは、まず時計を「自分ごと」にしてもらうためで、こうでなければいけないというわけではないんです。
TERUすでに時針から練習を始めているなら、慌てて方針を変えなくて大丈夫です。今日紹介した遊びの中から、お子さんの今の様子に合いそうなものだけ取り入れてみてください。
とはいえ、「同じことを何回言っても読めるようにならない…」と、もどかしくなる日もありますよね。そんなときは、いったん説明はお休みして、数えたり回したりする遊びに戻ってみるのもひとつの手です。子どもは、好きなものはどんどん吸収して、興味のないものはなかなか身につきにくいことが多いです。時計を教えるために何かをさせるより、今その子が好きな遊びに時計を組み込んであげるほうが、時計を好きになってくれやすいと僕は感じています。
文字や数との出会い方について、同じ考え方でまとめたひらがなの教え方の記事や、幼児期の「熱中体験」の記事も、あわせて読んでみてください。
読めることより大切な「時間が流れている」感覚
最後に、ひとつだけ大切にしてほしいことがあります。小川さんは本の中で、算数で「速さ」を習うずっと前から、時間で遊んでおく発想を勧めています。
たとえば、いつもは自転車で5分の場所に歩いて行ったら10分かかった、車で行ったら3分で着いた、というような話題を、急かすためではなく、生活の中のおしゃべりとして楽しむというものです。こうした会話を重ねていると、子どもは「同じ場所に行くのでも、行き方によってかかる時間が違うんだ」ということを、実感としてつかんでいきます。
これは算数でいえば、時間・速さ・距離の関係そのものです。生活の中で実感していたことは、学校で習ったときに「あ、あのことだ!」と結びつきやすくなります。小川さんは、時計遊びで本当に大切なのは「〇時〇分」が読めることそのものより、時間は流れているという感覚を知ることだと書いています。
この考え方は、僕が子どもたちと関わるうえでずっと大切にしてきたことでもあります。いちばん体で感じやすい秒から始めることをおすすめしているのも、これが理由です。
毎日忙しいなかで、時計遊びの時間をわざわざ作るのは大変ですよね。お出かけの行き帰りに「今日は何分かかったかな?」と話してみるくらいでも、十分な種まきになります。朝の支度がスムーズになった工夫のように、生活の流れの中で楽しめる形を見つけていけたらいいですよね。
TERUできる限り、できる範囲で。ぜひ「読む」と「体で感じる」を組み合わせて、親子で時計遊びを楽しんでみてください。
まとめ
今日のポイント
- 時計は理屈で教える前に、生活や遊びの中で種まきをしておく
- 練習を始める目安は「1〜60まで数えられるようになったら」
- いちばんの土台は、毎日の「〇時〇分」という正確な声かけ
- 秒針→分針→時針の順に、数える・回す・測る遊びで体感していく
- 「読む」と「体で感じる」を組み合わせて、時間の感覚を育てる
よくある質問
時計は何歳ごろから読めるようになる?
読めるようになる時期は、子どもによってかなり差があります。練習を始める目安は、年齢よりも「1〜60まで数えられるようになったら」と考えてみてください。小学校では1年生で時刻の読み方を学ぶので、入学前に完璧に読めている必要はありません。幼児期は、遊びの中で時計に親しんでおくくらいで十分です。
短い針(時針)から教えるのはだめ?
だめということはありません。時針から教えても、多くの子が時計を読めるようになります。この記事で秒針から始めているのは、動きが見えやすく体で感じやすい秒から入ることで、時計を「自分ごと」にしてもらうためです。すでに時針から練習しているなら、そのまま続けながら、合いそうな遊びだけ取り入れてみてください。
子どもが時計に興味を持ってくれない
時計を教えるために何かをするより、今その子が好きな遊びに時計を組み込んでみてください。電車のおもちゃが線路を一周する時間や、積み木を積む時間を「何秒かな?」と測るなど、60秒以内で終わる遊びは毎日の中にたくさんあります。そのうえで、大人が「〇時〇分」と時刻を口にする見本を見せ続けていると、あるとき興味を持ってくれることもあります。
小学生になっても時計が読めないときは?
小学校では、1年生で時刻の読み方、2年生で日・時・分の関係、3年生で秒や時間の求め方と、学年をまたいで少しずつ学んでいきます。焦って説明をくり返すより、針を回して合わせる遊びや、タイムキーパーのように生活の中で時計を使う場面を増やしてみてください。説明でわからなかったことが、体験を通してつながることもあります。

この記事を書いた人TERU幼児教育講師/子育て勉強会TERU 代表
幼児教室で、たくさんの親子と関わってきた幼児教育講師。YouTube「子育て勉強会TERUch」(登録者 約13万人)で、子どもの発達や関わり方を研究の知見とあわせて発信しています。Yahoo!ニュース エキスパートとしても活動中。3〜8歳向けの「TERU先生の動画教室」や、オリジナルのひらがな・カタカナ教材も手がけています。
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