ASDの子の癇癪を47.7%減少させたプログラムとは?

ASDの子の癇癪を47.7%減少させたプログラムとは?

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先日、ASDの子の癇癪や反抗行動に関する研究を調べていて、これは親御さんに知ってほしいなと思った研究があったのでシェアさせてください😌

これはアメリカの心理学者である、ベアースとスカヒルらが2015年にJAMA(ジャマ/世界的に権威のある医学誌)に発表した研究で、RUBI(ルビー)という親トレのプログラムを検証したものです。今や世界中の親トレ研究の基準点になっています。

前半は、研究の概要をお話しして、後半では、実際に家庭でできる形としてRUBIの癇癪対策をご紹介したいと思います!

SECTION 1

どんな研究だったのか?

▼研究の対象
アメリカの6つの大学病院が共同で行った多施設研究
3〜7歳のASDの子180名(平均4.7歳)が参加
全員が、癇癪・攻撃・自傷・不従順といった中等度〜重度の"破壊的行動"を抱えるお子さん

複数の施設で同じ結果が出るかを見ている点から、信頼性の高い研究と言えますね!

SECTION 2

何と何を比べたか(この研究のうまいところ)

普通の研究は「親トレ群 vs 何もしない群」で比べがちなんですが、それだと「親トレそのものの効果というより、専門家のサポートを受けている安心感などからくる副次的な効果の可能性もあるのでは?」という反論が残ります。

専門家と繋がることで、「一人じゃない」と感じる状況が生まれ、それが親を前向きにし、家庭の雰囲気を良くして、結果的に子どもの様子まで改善させる効果が働いた仮説も成り立ってしまうということですね。

その点、この研究は、こんな比較をしています。

▼比較①:親トレ群(89名)

中身は後半で紹介しますが、RUBIという親トレのプログラムを実施。1対1で全11回(1回60〜90分)に加え、追加の回・家庭訪問・親子で取り組む回(最大6回)などを行い、〈行動が何のために起きているかを見る/問題を前もって防ぐ/上手に褒めて良い行動を増やす/癇癪の代わりの伝え方を教える/一日の流れを目で見て分かるようにする〉といった関わり方を、親が"技術として"実際に練習しました。

▼比較②:親教育群(91名)

同じくらいの回数・時間をかけて、自閉症の知識・発達・支援制度などの情報は手厚く提供するが、行動マネジメントの技術は教えない。

つまり「情報をたっぷり受け取ること」と「関わりの技術を練習すること」を、接触時間をそろえて正面から比べた、とてもフェアな設計なんですよね。

SECTION 3

結果

24週間後、癇癪やイライラ、攻撃性の激しさを親が採点した結果

親トレ群:47.7%減少(23.7→12.4)
親教育群:31.8%減少(23.9→16.3)

どちらのグループも良くなっていましたが、親トレをした家庭のほうがはっきりと大きく改善していました。この差は、生活でも実感できるくらいの大きさで、しかも偶然ではまず起こらない確かさで出ています。

「家での困りごと(言うことを聞かない、切り替えられない…など)」の面で見ても、

親トレ群:困りごとが約55%減
親教育群:約34%減

と、やはり親トレ群のほうが大きく落ち着きました。

さらに、医者が「この子は改善した」と判定した割合は、

親トレ群:約69%
親教育群:約40%

ざっくり言うと、〈情報を知るだけだと約4割、実際に関わり方を練習すると約7割の子が改善した〉という差です。

SECTION 4

この研究の一番のメッセージ

『情報を渡すだけでも多少は良くなる。でも、"関わり方を実際に練習する"と、改善する子の割合がほぼ倍近くになる』

ASDのお子さんの癇癪は"生まれつきの性格で変えられない"ものではなく、親の関わりで大きく変わる。それを世界トップ級の医学誌が、フェアな比較で示した、という重みがある研究なんですよね😌

SECTION 5

では、その「親トレ(RUBI)」で具体的に何をやったのか?

ここからは、具体的にRUBIの中身をご紹介していきます。

まず、大前提となる発想の転換からなのですが、RUBIの一番の土台となる考え方は、

『子どもを変えようとする前に、まわりの大人の関わりと環境を変える』

というものです。

癇癪や不従順を「困った性格」として捉えるのではなく、「何かのきっかけで起きて、何かの結果で強まっている行動」として捉え直す。RUBIはこれを親が"技術"として身につける、いわば関わり方の土台づくりなんですよね。

実際のプログラムの中身も、講義を受けるだけでなく、専門家がお手本を見せる→親がロールプレイで練習する→家でやってみる(宿題)→次のセッションで振り返る、という「実際に練習する」ことを中心に組み立てられています。だからこそ、"本を読むだけ"では届かない効果が出たわけですね。

ここからは、RUBIの11ステップを、家庭でできる形に翻訳してご紹介していきます👍

①まず「なぜ起きるか」を見る

最初に学ぶのは、行動そのものではなく"行動の前後を観察する"ことです。

どんな状況(何の前に)
どんな行動が起きて
そのあと何が起きたか

これをメモするだけ。

家庭では「癇癪ノート」を数日つけてみて、「お風呂に誘われた直後に多い」「泣くとおもちゃが返ってくる」といったパターンを見つける。これが全ての出発点です。

多くの行動は、

注目してほしい
要求を通したい
嫌なことから逃げたい
感覚的な理由(音・光・触感など)

このどれかで起きていると言われています。

②先手を打つ(起こる前に手を打つ)

きっかけが分かれば、起きる前に手を打てるようになります。

苦手な切り替えの前に予告する(「あと5分でお風呂だよ」)
選択肢を渡す(「靴下は青と赤どっちにする?」)
難しい課題を小さく刻む

癇癪が起きてから対応するより、"起きにくい状況を作る"ほうがずっと楽、という発想ですね。

③一日を見える化する

「次に何があるか分からない」という不安が、行動を悪化させることも多いんですよね。

なので、絵カードや写真で「今日の流れ」を並べて見せる。終わったらめくる・シールを貼る、というシンプルな仕組みで、"次の見通し"を作ってあげます。

④「できた瞬間」をほめて増やす

RUBIで2回分のセッションが割かれる、中核となる技術です。

ポイントは、"良い行動をしている瞬間"を捕まえてすぐ具体的にほめること。

「すごいね」ではなく「自分で靴履けたね」と、"何が良かったか"を言葉にするのがポイントです。

普段の関わりだと、つい"できていないこと"に目が向きがちなんですが、"できている瞬間"を意識して見つけて、そこに注目を集めるのがコツですね😊

⑤困った行動には反応しない(ただし限定的に)

※ここは誤解されやすいので丁寧にお伝えしますね。

これは「子どもを無視する」ことでも、痛がっている・困っているなどを放置することでもありません。

具体的には、"かまってほしくてやっている軽い問題行動"(わざと変な声を出す、大人の気を引くためのグズりなど)に、あえて反応を返さないという限定的な技術です。

そして、必ず④の「良い行動をほめる」とセットで使うのが大前提。

危険な行動や自傷がある場合は、別の対応が必要になるので、この技術は使いません🙏

⑥通りやすい指示を出す

子どもに何かをお願いする時のコツですね。

1回に1つのことだけ伝える
「〜しないで」ではなく「〜してね」と肯定形で伝える
具体的に伝える(「ちゃんとして!」ではなく「積み木を箱に入れてね」)
近くで、落ち着いた声で伝える
指示のあと少し待つ
行動できたらすぐほめる

これが、RUBIで提示された指示の通りやすくなるコツですね!やりやすいものからで大丈夫です👌

⑦癇癪の代わりの伝え方を教える

癇癪や問題行動が、「伝えたいことを伝える手段」の代わりになっているケースが結構あります。

そこで、もっと楽で通じる伝え方を教えて、置き換えていく。

「欲しい」「貸して」「自分でやりたい」など、「こういう時はこういう風に伝えればいいんだよ」と都度教えていくイメージですね!

言葉が難しいお子さんなら、絵カードやジェスチャーで「かして」「休憩したい」を伝えられるようにするのもokです!

『泣かなくても伝わる』経験が積み重なることで、癇癪が減っていく助けになります!

⑧できないことは小さく分けて教える

着替えや歯みがきなど、「できない」と一括りにされがちなことも、実は細かい手順の集まりだったりします。

例えば「歯みがき」なら、

歯ブラシを持つ
水で濡らす
歯磨き粉をつける
口に入れる
磨く
すすぐ

みたいに分解して、一つずつ教えていく。必要な部分だけ手助けをして、できるようになったら少しずつ手を引いていきます。

「できない」ではなく「まだ教えていないだけ」と捉え直すのがポイントですね😊

⑨定着させる

最後は、身についた良い変化を"場所や人が変わっても続く"ようにする仕上げの段階。

家でできるようになったことを、祖父母の家、お出かけ先、園などでも同じやり方で関わっていく、という視点です。

家でできるという第一ステップの後、それを他の場所で再現できない子は結構多くて、家以外のいくつかのシーンで同じように練習をしていった時、初めてどんな場所でも応用してできるようになっていったりするんですね。

親としては、家でできたら、後は他でも自分の力でやって欲しいよなぁと正直思うところだと思いますが、癇癪や不安感が強い子には、複数の場所でのサポートが本当に心強いんですよね🥺

以上が、RUBIから学ぶ癇癪への対応方法です!

今回の研究の最も重要な点は、

『ASDの子の癇癪や反抗は、"変えられない性質"ではない』

という示唆かなと思います。

もちろん、日々本当に頑張って向き合っている親御さんが、これを読んで「じゃあ自分の関わりが悪かったんだ…」と自分を責める必要は全くありません。

むしろ、関わり方には"効きやすいコツ"があって、それを知って少しずつ取り入れていくだけで、日々の負担が減っていく可能性があるということですね。

一つでも、家庭で取り入れやすいものがあれば嬉しいなと思います😌

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