幼児教育講師のTERUです。
「親として、子育て情報と上手く付き合うためのコツはありますか?」
こんなご質問をいただきました。
今日は1つの観点からコツをご紹介したいと思います!
【目次】
- 生存者バイアスとは?
- 「叱る指導が正しい」という発信の背景
- 厳しい指導と良い結果の因果関係は?
- 成功者の声が“正解”に見えるカラクリ
- 子育て情報と上手く付き合う第一歩
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❶ 生存者バイアスとは?
「親として、子育て情報と上手く付き合うためのコツはありますか?」
その答えとして僕が一番伝えたいのが、「生存者バイアス」について正しく理解することです。
生存者バイアスとは?
何かの分野で成功した人の体験だけが目立って取り上げられ、失敗した多数の例が見えなくなるという現象です。
実はこれ、子育て情報にもたくさん潜んでいます。
たとえば、「本当は叱る子育てが正しい」と主張する指導者の発信を見たことはありませんか?
それが、まさに生存者バイアスの例です。
❷ 「厳しい・叱る指導が正しい」という発信の背景
ある有名なスポーツクラブの指導者が、こんな発信をしていたとします。
最近、褒める子育てが流行っているけど、それは危険。厳しく叱られるからこそ人は奮起してがんばれる。僕のクラブは毎年全国出場し、プロも輩出している。アスリートの××さんや△△さんも、厳しい指導のおかげで反骨精神が育ったと著書に書いていた。今はコンプライアンスにうるさすぎる。もっと本気で向き合う指導が必要だ。
一見、説得力がありますよね。
でも、ここにこそ「生存者バイアス」が潜んでいるんです。
❸ 厳しい指導と良い結果の因果関係は?
この発信をもう少し冷静に見てみましょう。
「厳しい指導」→「全国に導けた」「プロ輩出」
この因果関係は、証明されていません。
- そのクラブの部員数は何人? 絶対数が多ければ、成功率も当然上がります。
- たまたま1回ものすごい成績を収め、その結果、そこから優秀な子が集るようになっただけかもしれません。
つまり、「厳しく叱ったから成功した」ではない可能性も十分にあります。
- その人はもともとどんな環境でも成功する素養があった可能性がある
- たまたまその厳しいクラブの中で「生き残った」希少な存在なだけかもしれない
❹ 成功者の声が“正解”に見えるカラクリ
ここで改めて考えたいのが、「生存者」という言葉の意味です。
生存者とは 成功した少数の“生き残り” のことです。
- ダイエットが成功した人だけが、SNSで方法を紹介します。
- 厳しい指導を受けて成功した人だけが、その体験を語ります。
でも、成功できなかった人は?
- 発信すらしません
- 誰にも知られず、表舞台にも立てません
だからこそ、
「厳しく叱られてよかった」と言える人は、耐えられた人、たまたま恵まれた人にすぎない
という視点を常に忘れてはいけないわけです。
そして実は、厳しい指導によって才能を潰されてしまった人の方が、ずっと多いかもしれません。
- 厳しい指導により自己肯定感が低く育ってしまった人
- 大人になってもPTSDのような心の傷に苦しむ人
❺ 子育て情報と上手く付き合う第一歩
今回お伝えした「生存者バイアス」。
子育てに関する情報と出会ったときには、ぜひこう考えてみてください。
- 「これは生存者バイアスでは?」
- 「この成功と、紹介された方法には本当に因果関係があるのかな?」
この2つの問いを持つだけで、情報との付き合い方がレベルアップします!
ぜひ、できる限りできる範囲で、自分と子どもにとって、本当に必要な情報を見極めながら進んでいきましょうね!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。